Big Treeさん

はじめまして、こんにちは。
最近、ビジネス書、特に自己啓発に関する本を読んでいると、潜在意識という言葉がよく出てきます。「潜在意識を活性化すると夢が叶う。ビジネスで成功する。自分が行きたい大学に受かる。彼女ができる。99%の潜在意識を制することによって、人生が思いのままになる。」といった感じの文句が並び、それを見た人が思わず買ってみたくなるような、そんなことが書かれていたりします。

確かに顕在意識として機能する部分は我々の日常生活の中ではほんの少しの部分かも知れませんが、潜在意識を活性化させることによって、上記のような効果があるともとても思えないのですが、何か科学的な根拠などあるのでしょうか?そういったことが書かれている本にはほとんど間違いなくネイチャーやサイエンスといったメジャーな科学雑誌の引用がなく、単にその著者が自分の意見を述べているだけのように思えるのですが、茂木先生はどのようにお考えですか?このような潜在意識万能主義とも言える現在の自己啓発書やビジネス書を扱う出版業界に対して誰も問題視していないのも首をかしげたくなります。

ご回答。

潜在意識は、大切だと思いますが、だからと言って、それを活性化したら、「夢が叶う。ビジネスで成功する。自分が行きたい大学に受かる。彼女ができる。」ということはありません(笑)。

潜在意識、つまりは無意識は、脳の情報処理の大きな部分を占めています。それとうまく付き合うことは、(1)自分という存在のバランスをとること(2)自分の中にある、隠れている可能性を引き出すこと(3)ストレスの解消 などのためにとても大切な課題です。しかし、これらの課題をうまくこなせたからと言って、、「夢が叶う。ビジネスで成功する。自分が行きたい大学に受かる。彼女ができる。」というわけではありません。

潜在意識とうまく付き合うことは、より無理のない生き方をすること、より善き人になることにはつながります。それは、「夢が叶う。ビジネスで成功する。自分が行きたい大学に受かる。彼女ができる。」ことよりも、実は大切なことでしょう。

もともとは潜在意識を発見したのは、フロイトやユングです。ユングの心理学に造詣が深かった、河合隼雄先生のご本を読むことをおすすめします。

nounandemo

 
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