小学校の6年生の時、北九州の親戚の秀和おじさんのところに行ってた時、荒井由実さんの音楽がずっとかかっていて、それで「凄い音楽だ!」と衝撃を受けたのが、ユーミンとの出会いだった。

今思うと、おそらくアルバム『ひこうき雲』、『MISSLIM』、『COBALT HOUR』あたりがヘビーローテーションしていた。

数々の名曲に魂が震えた。

秀和おじさんの家は建て直してしまったけれども、昔の間取りはありありと思い出せる。その空間を、荒井由実さんの『海を見ていた午後』の音が満たしていた感覚を、今でもよみがえらせられる。

昨日、松任谷由実さんのコンサートに初めて行った。
有楽町の国際フォーラム。

宇宙図書館のセットの中で、ユーミンが歌って、ミュージシャンたちが奏でて、人が踊って、舞った。CGが動いた。一つの夢の世界だった。

これだけのことをやるのが、どんなに大変か、想像しながら見ていた。
音楽と、歌と、舞台転換と、光と、映像と、そして、ユーミンの声と。

この完成度は、空気そのものから歓喜の涙が流れ出るほど。

ユーミンは、独特の感覚で世界に向き合っている。

以前、NHKの番組で、ユーミンと対談した。

収録中に、ユーミンがこんなことを言った。

「茂木さん、私、高校の時、パイプオルガンの音を聞いて、感動して、両眼から涙がわーっと出てしまったんですね。その翌日から、私、声がパイプオルガンみたいになってしまったんです。これは、科学的には、どのようなことなのでしょう?」

ユーミンは、本当にユニークな感覚で、世界と向き合っている。

結びつかないものが結びつき、響き合わないものが響き合う。その中に、ふしぎな花が咲き、鳥たちがさえずっている。

コンサートも大詰めになって、ユーミンがミュージシャンたちを紹介した。
キーボードが武部聡志さんだったので、びっくりした。

豪華!!!!

途中、『ひこうき雲』があり、アンコールで『卒業写真』が歌われたが、これらの「神曲」を作詞作曲したユーミン自身が歌う時の「破壊力」は凄まじいもので、他のすべてが無効化されて意味を失うほどの力がある。

そんな時間の流れの中で、私は、小学校6年生、秀和おじさんの家でヘビーローテーションでかかっていた荒井由実のアルバムを聴いていた、あの夏に戻っていた。

あれから私は歳月を積み重ね、ユーミンも時を刻んできた。

人は、生きるうちに、重層的にさまざまなものをまとっていく。

しかし、そのコアには、黄金のように純粋な何かがあり続けていて、それを人は「魂」と呼ぶのだろう。

『宇宙図書館』、地上から浮遊した、不思議な時間の流れです。

宇宙図書館のツアー、あと16回あるそうです。

みなさん、是非。そして、アルバムも。ため息が出るほど素晴らしいです。

http://yuming.co.jp/information/2016/09/01/3387/


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