規制緩和は、大いに結構だけれども、それが、国が「設置基準」を決めている大学だったり、また、設置を認めると、そこに莫大な公的扶助が投じられるというような仕組みは、たとえ規制緩和だとしても、あまり意味がないと思う。

そもそもありとあらゆる形式の、ありとあらゆるカリキュラムの学校ができる、という意味での規制緩和だったら、大いに意味がある。カリフォルニアにできた、学費無料で在学期間は任意の42とか、世界7箇所に拠点があって学生はあちらこちらに行き、今全米で一番入るのが難しいと言われているMinervaとか。

獣医師は、国家が要件を定め、それ以外の人が業務をしていはいけないという規制を加えている資格であって、その養成の学校をつくり、公金を投じることが「規制緩和」だという論理が、私にはよくわからない。

巷で言われている獣医師の必要性の論理を見ると、必ずしも国家資格である必要が感じられない。むしろ規制を外して、さまざまな専門性の人たちがチームを組んで仕事した方が良い結果が上がることは明白だと思う。

結局、日本における「規制緩和」とは、国による統制を前提にして、その統制のやり方を少々変える、という程度のことにしか私には見えない。

私のような意見は少数派かもしれないが、教科書検定が存在し、学校のカリキュラムを国が指導するのが当たり前、と思っている国における「規制緩和」の意義については懐疑的に見るのは当然のことではないだろうか。

参考:(日本における)獣医師(じゅういし、英語:veterinary physician)は、ヒト以外の動物の医師。獣医師でない者が、飼育動物(牛・馬・豚・めん羊・山羊・犬・猫・鶏・うずら・その他獣医師が診察を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る)の診療を業務としてはならない業務独占資格でもあり、獣医師でない者が「獣医師」[1]の名称を使用したり、「動物医」・「家畜医」・「ペット医」等の紛らわしい名称も用いたりしてはならない名称独占資格でもある。

上記引用元↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%B8%AB




追記。

下でいただいたコメントに関連して、もちろん、獣医師や医師について一切の資格を不必要とするリバタリアン(Milton Friedman 的)な態度をとることもできますが、ここでは、そこまでの主張はしていません。

補足すれば、今回、獣医師の関連業務として一部で指摘されていた、動物実験や、検疫といった業務は、必ずしも獣医師の資格を要求する理由が私には明らかではありません。
今後の人工知能による診断、統計的推定などの技術の発展を考えれば、従来の獣医師資格がこれらの業務にかかわる上での必要条件であるとする意味は、私にはわからないということです(特に検疫)。



cloverneko