しばらく前から、英語系のニュースでよく見かけるようになり、アメリカやイギリスでは爆発的な流行をしているようです。

 またこれらの国での流行も、突然始まったようで、何がきっかけだったのかわかりません。

 私も、数日前にネットで手に入れて、さわって見ましたが、確かに、ただ回転するだけなのに、ハマります。
 
 回転が長く続くのと(うまくやれば数分間)、その回転のトルクが手で感じられるのが、ポイントのようです。
 英語ではfidget spinnerと言われることが多いようです。
 fidgetは、手や足をこまかくうごかしたり、そわそわしたりするということ。たとえば、貧乏ゆすりのように。

 ハンドスピナーは、集中力を高めたり、ストレスを解消する効果があるとも言われていますが、そのようなメカニズムを直接検証する認知実験、脳科学実験は私は知りません。

 次の博士論文が、このような玩具の効果について詳細に検討しています。
 特に、関連した玩具、fidget eggについて調べているようです。
 (ネット上にpdfもあります。関心の有る方は検索してみてください)

Fogal, B. (2017). Design and Analysis of Cognitive Focus Devices (Doctoral dissertation, WORCESTER POLYTECHNIC INSTITUTE).

 集中力を高めたり、ストレスを解消する効果ですが、cognitive shiftingと呼ばれる事象が関係しているかもしれません。

 cognitive shiftingは、自分の注意や認知の向かう対象を、移動させること。

 自分の中の感情やストレスから、外部の具体的な何か(この場合はハンドスピナー)に注意を向けることで、心の状態が改善するということはあるでしょう。
 
 脳の回路としては、注意の切り替えに関わる前頭葉の回路や、身体性に関わる頭頂葉の回路などが関与しているものと思われます。感情の中枢である扁桃体もかかわるでしょう。

 また、ハンドスピナーを持って回転するのをぼんやり見ていると、脳がアイドリングしている状態になるので、default mode networkを構成する
後部帯状皮質や内側前頭前皮質の活動がどうなるかもポイントかもしれません。

 実験やデータがない現段階では、すべて推測にすぎませんが。 

 いずれにせよ、現時点ではメカニズムはよくわからないし、個人差や使い方の条件でも変わるはずなので、とりあえずはあまり何も考えずに、興味のある方は、ハンドスピナーを入手して楽しむのが良いのではないでしょうか。

 構造が単純なので、自作したり改良したりする人も多いようです。

(ところで、fidget spinner、フィジェット・スピナーというのは、日本語としては馴染みがないし言いにくいので、日本ではハンドスピナーという名前が定着するのでしょうが、それ以外に愛称はできないのでしょうか。ぼくは、なんとなく、「くるくる」と呼んでいます(笑)。ネット上でも、「くるくる」という言葉が比較的多くあるようです。どんな名前になるのでしょう(笑)。昔、アメリカンクラッカーが大流行した時には、みんな「カチカチ」と言っていましたが(笑)

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