ひらめきの瞬間、脳は短い時間(スケールとして0.1秒程度)神経細胞が広い範囲にわたって同期発火する。このことによって、ヘッブの法則を通してシナプスの結合強度が強まる学習が起こり、ひらめきが定着するものと考えられる。

ひらめきにおいて、広範囲にわたる神経細胞の同期発火が見られるのは、それだけ多くの機能的モジュールがひらめきに関与していることを示している。脳の中で「ドット」と「ドット」が結ばれているのだ。

ひらめきは、結局、0から1が生み出される過程ではなく、すでに存在する情報が組み合わせをかえて新たに結びつくプロセスである。だから、同期発火を通して、そのような結びつきが顕在化することが大切である。

ただし、この0.1秒程度のスケールの神経細胞の同期発火は、脳の情報処理においてはあくまでも例外的な事象である。環境との相互作用の中で、感覚・運動連関に起こる通常の情報処理とは異なるのである。

ひらめきは、その時にやっていること(たとえば、歩いているとか、食事をしているとか)と直接関係なく、突然割り込んでくる情報処理である。このような脈絡のなさと、0.1秒程度のスケールの短い事象であるという事実は関係しあっている。

0.1秒程度のスケールの、まばたきする程度の間の短い例外処理だからこそ、ひらめきは脈絡なく介入してきてその間脳の認知過程を占有することができる。それ以上の長い情報処理が脈絡なく介入すれば、環境への適応という意味で障害が生じるだろう。

連続ツイート