イギリスの政治コメディの金字塔、「イエス・ミニスター」から、「積極的差別」(positive discrimination)。

官僚の世界で女性をもっと登用すべきだ、という会議で、事務次官たちが、「もちろん原則としては大賛成だ!」と言いながら、それぞれの官庁では「こういう事情があって、完全に平等にするのは難しい・・・」と言い逃れます(笑)。

実際には、その「事情」こそが、自分たちの偏見なのですが。

このように、コメディにおいては、 偏見を持った人の考えを敢えて描くことで、そのような偏見を相対化・無効化するという手法がとられることがあるのです。

 

コメディは、差別や偏見、政治的課題など、思考が硬直しがちな問題を「笑い」にすることで、私たちの頭を柔軟で自由なものにします。

特に、タブーになりがちなこと、対立が固定しがちなことほど、「笑い」を通してメタ認知を立ち上げることができます。そのことで、私たちはより自由になります。

コメディに必要なのは、真実を見る「勇気」です。

さらに、コメディは、こんがらがった事態を、論理的に解き明かすことで、笑いに変えることがあります。

人間の自由に対する信頼と、貫かれる論理。この2つがコメディの背骨だと言えるでしょう。

すぐれたコメディは、民主主義に欠かせないインフラだということができます。

コメディは、「自由」の空気製造機なのです。

コメディは、時に、不服従(disobedience)の精神の表現でもあります。

英語のコメディを見ることは、英語力を高める上でも有効です。
英語が分かれば笑える。おかしさ、笑いがわかるかどうかで、自分の英語力をチェックできるのです。