イギリスの政治コメディの金字塔、Yes, Ministerは、その後、主人公の大臣が首相になったのでYes, Prime Ministerというタイトルになりました。

このクリップは、首相が、ある人物が盗聴されていることを知らずに、盗聴を否定する発言を議会でしてしまったことに対する、官僚のトップ、サーハンフリーアップルビーとの対話です。

サーハンフリーが、難しい言い回しをして、それを首相が理解できない、というこのシリーズの定番のジョークから、そもそも首相はいつどんな情報を伝えられるべきなのかというやりとりになります。

Yes, Minister、Yes, Prime Ministerがイギリスの政治コメディの金字塔とされるのは、このような場面での官僚と政治家との関係、統治プロセスの現実と原理に関する、深い洞察、そして諦めがあるからでしょう。

高校や大学の授業で、この場面を見て、「首相はどんな情報をいつ伝えられるべきなのか」をみんなで議論するのは、とても有意義なことだと思います。


 

コメディは、差別や偏見、政治的課題など、思考が硬直しがちな問題を「笑い」にすることで、私たちの頭を柔軟で自由なものにします。

特に、タブーになりがちなこと、対立が固定しがちなことほど、「笑い」を通してメタ認知を立ち上げることができます。そのことで、私たちはより自由になります。

コメディに必要なのは、真実を見る「勇気」です。

さらに、コメディは、こんがらがった事態を、論理的に解き明かすことで、笑いに変えることがあります。

人間の自由に対する信頼と、貫かれる論理。この2つがコメディの背骨だと言えるでしょう。

すぐれたコメディは、民主主義に欠かせないインフラだということができます。

コメディは、「自由」の空気製造機なのです。

コメディは、時に、不服従(disobedience)の精神の表現でもあります。

英語のコメディを見ることは、英語力を高める上でも有効です。
英語が分かれば笑える。おかしさ、笑いがわかるかどうかで、自分の英語力をチェックできるのです。