フロイトが主張したさまざまな理論については、今日では疑問が呈されていることもある。また、精神分析の手法についても、科学的観点から批判されることもある。しかし、無意識の意識化の大切さについては、フロイトは正しい直観を持っていた。

自分の無意識の中にあるものを意識化することで、人は変わることができる。よりとらわれずに自由になることができる。何かが無意識の中にある時ほど、その何かに人は支配されやすい。意識化することで、その何かからの解放のプロセスが始まっている。

隠された動機や感情は、それらが無意識の中にある時ほど、人を支配しやすい。意識化することで、その動機や感情から自由になることができる。すぐには折り合いがつかなくても、より柔軟に検討することができるようになる。

このような無意識の意識化の効用は、フロイトのアプローチの根幹に関わることだが、同じことは創造のプロセスにおいても言える。人は、無意識の中にあるものを取り出すことで、もやもやを解消し、より自由な、晴れやかな気持ちになることができるのである。

創造は、無意識の中に何かが引っかかっているというもやもやから始まる。そのもやもやは、無意識の中にあるものを意識化すること、外に取り出すことで解消される。創造することで、創造者はより自由で、すこやかになることができるのだ。

このように考えてくると、創造する時の創造者にとっての最大のインセンティヴは、自分を変えること、より自由で解放された存在になることだと言える。創造は、自分自身を無意識の中にある萌芽の呪縛から解放する試みなのである。

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