Tロンさん
 
高校1年生です。
最近考えていることは死刑制度は本当に必要なのかという問題です。
これはD カーネギー著「人を動かす」に書かれていたことですが、さつ人者は自分の行ったことは悪だとは思わず、むしろ自分自身の正義に基づいて行なっているということがしばしばだそうです。ならば、死刑制度によって犯罪者をあやめるのも根本的には同一のものではないのでしょうか?
死刑制度を考えていく上で、僕はこの点においてひっかかりを覚えます。茂木さんのお考えをお聞かせ下さい。

ご回答。

私自身は、以前から繰り返し表明しているように、死刑に反対です。

また、死刑廃止は、世界の文明国の趨勢でもあります。この観点から見れば、日本もアメリカも文明国ではありません。

国家が犯罪者を処刑することを「正義」だと信じる態度が、犯罪者自身の態度に通じるというのは、ご指摘の通りです。

現代の刑法の大前提は、犯罪をおかす人がそれをやめようと思えばやめられたのに実行した点に責任を求めます。

しかし、現代の科学の水準から見れば、自由意志は存在しません。強いていえば、自由意志は幻想です。つまり、現代の刑法理論の大前提が間違っています。

死刑をめぐる論点はいろいろありますが、そもそも、死刑とそうでない行為を峻別する基準自体に脆弱性があることになります。

nounandemo

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