「誤差信号」は、通常、個々の課題において与えられる。例えば、英語の穴埋め問題や、計算問題などである。これらの「誤差」を小さくするように修正していくことが、学習において重要なプロセスであることはすでに指摘した通りである。

一方、さらに大きな視野、長い期間にわたる視点から見た「誤差信号」もある。それは、つまりは理想の自分と現在の自分の間の距離のようなものであって、この誤差信号は個々の課題に対するそれに比べると明確には定義されていないが、同じように重要である。

理想の自分のあり方は抽象的なものであるかもしれない。しかし、だからこそ、ありありと鮮明なイメージとして思い浮かべられることもある。自分が目指す自分のあり方(状況)と、現在の状況をイメージとして比較し、その間の距離を縮めるように日々努力すれば良いのである。

理想の自分のあり方は、一つの生活のスタイルとしてイメージされるかもしれない。あるいは、社会の中でのあり方としてイメージされるかもしれない。あるいは、一つの具体的な目標の達成としてイメージされるかもしれない。

いずれにせよ、自分がこうなりたい、こうありたいということをイメージして、それを現在の自分と比較し、何が違うのか、何が足りないのかを意識化して、それを少しでも縮めるように努力すれば、人は成長することができる。

この場合、誤差信号を縮めるための課題の数はきわめて大きなものになるかもしれないが、それで良い。そのようなかたちで、課題のスペクトラムを俯瞰することも、充実した人生を送る上で大切なことである。 

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