テストの自己採点などで、自分の欠点がわかったら、それを学習のためのフィードバックに使えばいい。誤差信号を減らす方向に調整すれば、自分のシステムを向上させることができる。それを繰り返しやることで、パフォーマンスを向上させることができる。

誤差信号の減少という教師あり学習は、まさに人工知能がやっていることで、彼らはそれを何千回何万回とくりかえして、機能を高度化している。もともとは人間の脳にインスパイアされたメカニズムなのに、人間の方がかえってそれをできていない。

人間が誤差信号をうまく使えないのは、他人との比較や劣等感といった余計なことを考えるからである。ただ単に、自分のパフォーマンスを上げるために有益な情報だととらえればいいのに、ダメだ、あいつに負けているなどと解釈し、結果として誤差信号を否定したり無視したりすることもある。

成績の悪い人ほど自分の能力を課題評価する傾向にあるという有名なダニング=クルーガー効果は、まさに誤差信号の虫の結果である。逆に、成績の良い人ほど自分の能力の評価において慎重であるということは、それだけ誤差信号を素直に受け入れる態度を持っていることを意味する。

自分に欠点があったり、足りないところがあるという認識を、劣等感やその裏返しの自信過剰に結びつけるのではなく、学習のための重要な情報としてとらえること。これは、特に初等教育において子どもたちに伝えるべき、とても大切なポイントであるが、それが十分になされていない。

成績や通知表の構造がダメなのである(これは日本だけでなく諸外国でも同じである)。成績で人を「格付け」するのではなく、学習のための情報をフィードバックするという思想でつくれば、成績や通知表の表現方法は変わってくるはずだ。

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