集中することが、単に強度や持続の問題ではなく「深さ」であることを自分なりに把握するためには、適切なメタファーを用いると良い。

メタファーの一つは、概念世界の旅である。集中することで、今、ここの現実とは別の概念世界を旅することができる。集中に入るところを出発点とするならば、そこから潜り込んで、入り組んだ迷宮のような中を旅する人になれる。集中している時間が長いほど、入り口から遠いところにいける。

概念世界を旅している中で、自分が知らないものに出会うことがある。その出会いが一つの里程標になって、再び集中して概念世界を旅する時の新たな入り口になる。違った地点から旅を続けることができる。

また、集中して旅を続ける中で、「潜って」「降りて」「沈んで」、トンネルをくぐり抜けて全く違った地点に出ることもできる。現実空間の距離と違って、概念空間の距離は遠いが近く、近くが遠い。トンネルを抜けて、思わぬ遠くの地点にたどり着くことができる。

すべての集中者の野心は、「トンネル掘り」であろう。トンネルを掘るところで、暗闇をくぐりぬけて、思わぬ明るい地点にたどり着くことができたら、そこで、集中の旅の一つの達成であると満足を得られる。

以上に述べたようなメタファーが、それぞれのひとがやっていること、たとえば勉強したり、文章を書いたり、音楽をつくったり、絵を描いたり、計算したり、プログラムしたりすることにどう当てはめるかは、それぞれの経験を通して明らかになるだろう。

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