新潟知事選の結果は、驚きでした。

森民夫さんが勝たれるのではないかと思っていたので、米山隆一さんが勝利されたこと、それだけ「民意」の強さを感じました。

森さんも、米山さんも、お人柄は立派で、どちらが選ばれてもおかしくなかったと思います。

ただ、それだけ、故郷を大切にしたい、という新潟の方々の思いが強かったのだろうと思います。

 少しだけ、自分の話をさせてください。

私の母親は、佐賀県の唐津生まれです。

半年くらい前、地図を見ていて、玄海原発が唐津の近くにある、と改めて認識して、もしものことがあったら、唐津はたいへんな影響を受けるな、と思いました。

その時、なんとも言えない、ほんとうに、嫌な気持ちがしたのです。

身体的拒絶、とでも言うのでしょうか。

もちろん、電力会社の方々が、原発の安全運転のために努力されていることは、知っています。

しかし、福島であれだけの事故があり、いまだにあれだけの広さの土地に帰れない方々がいらっしゃる。

私のおじさんがかつて一時期住んでいて、子どもの頃遊びにいった浪江町も、住むことができないままです。

そのような現実を前に、それぞれの地域の方々が、故郷を大切にしたい、という強い感情を持つのは、当然のことではないでしょうか。

新潟は、米どころ。本当に美しい光景が広がっています。


その故郷への思いに向かい、尊重して、電力会社の方や、国の方々が、原発の再稼働に向けての説得力のある道筋を示せるのかどうか。


国のエネルギー政策は大切で、いろいろな議論があると思いますが、以上のような 「故郷への思い」は、否定し難い感情だと思います。

森民夫さんや、米山隆一さんの御出身の長岡も、柏崎原発から近いです。

たとえ、森さんが知事に選ばれていても、再稼働への道筋は、簡単ではなかったのではないかと思います。

森さんの長岡でのお仕事ぶりは、見事なものだったのですが。

今回の結果を、政党政治の文脈で語るのは、妥当ではないし、それでは新潟の方々に失礼です。

一番大切だったのは、 「故郷への思い」の強さだったのではないでしょうか。