前回からいつの間にか一ヶ月?くらい空いてしまいまして、もうすっかり忘れられているかと思うところ大変申し訳ございません!!すっかり日々の生活にうもっておりました。。スクランブル発進いたします!!前回は、ついに手術室まで辿り着いたところでした。


さて、いくつも列んでいる部屋の中から斜め前方の部屋にスススーっと看護師さんに連れて行かれます。すると、昨日ご説明下さった麻酔科のYZ先生がすでにいらっしゃいます。笑顔でよく眠れましたか?と声を掛け下さって、それだけでも何だか癒されます。自分では緊張しているつもりはありませんでしたが、他の麻酔の準備をされている方から「ダイジョブ?緊張してませんか?」と言われて「あぁ、ええ、あの、ええ、大丈夫です」と答えましたが、確かにアタフタした返答に、自分で、「あ、緊張してるんだな」と気づいてなんだか少し恥ずかしい気持ちになります。


手術台が普通の診察台よりも小さい感じがします。たぶん実際、少し小さいはずです。こんな小さくて平気なのかな?と思いつつ乗るとさらに手術台はフラットではなくて、丘のように寝台の面が少しこんもり膨らんでしています。しかもなんだか少し温かいです。宇宙飛行士の保温用の下着が一瞬脳裏を過ります。


大まかな手術の流れは伺っていましたが、そういえば手術室に入ってからの段取りなんかは何も聞いていなかったなぁと、一挙手一投足に緊張します。麻酔のY先生は躊躇せずに「じゃぁ左手首に針を刺しますね~」と言って注射を射して次に右手にも射して、なんの注射なのかよく分かりませんでしたが「普通に入れたら太くて痛いんですよ~」とおっしゃっていた言葉の意味もよく分からないまま、何やらどんどん準備は進んで行きます。


手術着はこの段階で上に何か掛けられて、その下で脱がされていた気もしますが、うまく思い出せません。ただ、YZ先生と何ともない話しをしていてあの短い時間でどういう話しの流れからかもよく思い出せませんが、どんな絵を描いているですか?とおっしゃられて「昔は下(シモ)の絵ばかりを描いていたんですが、最近は母子像を描いてるんですよ」というようなことをお伝えしました。


で、逆に先生に「毎日こんな感じで手術をされているんですか?」と言うと、作業の手は進めながら「これが日常って普通じゃないですよねぇ~」と笑顔でおっしゃっていて、なんだかそのお言葉の感じにもホッとした気持ちになりました。すると唐突に、寝転がっていて真上と横しか見えいない視界に、突然少しご年配の眼鏡を掛けた男の先生が「どう?」とやってまいります。YZ先生以外にさらにボスがいらっしゃるとは思いもしなかったので「え!?先生はどなたさまでいらっしゃいますか?」というような気持ちです。


YZ先生が左側で何かをしていて、もうお一人いらっしゃった多分麻酔の女性の先生が「じゃぁマスク掛けますね。これから麻酔がかかって寝てしまいますからねぇ~」とおっしゃって若干焦ります。麻酔の注射して「だんだんと」眠くなって行くものかと思っていたので、段々と薄れ往く意識の中で心の中で「サヨウナラ」とか言うのかなぁなんて思っていたもので、あまりに唐突にしかも麻酔がすぐかかりますからねぇという状況に、これで万が一死んだとしたらこれが最後だぞという気持ちが一瞬過ります。


いま振返ってみてもあの一連のスムーズな流れ、あれが現実の時間なんだなぁと思います。カウントして自分のタイミングで「では、行ってきます!」とダイブする状況ではなく、「ちょちょちょ、あ、あ、あ、、」と思っているあいだにマスクをつけられます。


右手に何かして下さっている女性の先生が、麻酔の眼鏡の上の先生に「先生、これはハズして、つけ直したほうがいいですね?」と聞いて「ああ、本当だ、それは直したほうがいいね」とおっしゃっていて、(え?何を付け替えるんですか?何かやり直しですか?)と思ったその瞬間、あの瞬間が手術前の記憶に残っている最後の瞬間でした。もしいまここに僕が生きていなかったら、あれが最後の瞬間だったんだなぁと強く印象に残っています。

べんまくき20160711