いやあ、なんだか、ヘンだなあ、とは思ったんだよね。。。
 成田で、アルゼンチンの通貨を少し両替しておこう、と思ったら、「34カ国」の通貨を扱っているところでも、アルゼンチンはなし。
 ブラジルはあっても、アルゼンチンはなし。

 トランジットのダラスであるかな、と思って、空港で見たら、やっぱりなし。
 アメリカン航空でこれからアルゼンチンに行くのに、その発着ターミナルにもなし。

 まあ、ブエノスアイレスに着いたらあるだろう、と思ってブエノスアイレスの空港に来たら、ここにもない(笑)。
 えっ・・・普通、現地の空港にはあるでしょ、両替。。。

 しばし、茫然とする。

 それで、ATMからお金を出そうとしたら、クレジットカードの設定なのか、こちらのネットワークとの相性なのか、引き出せない・・・・・・。
 
 この時点で、私は、現地のお金なしで、ブエノスアイレス市内に向かわなくてはいけないことが、確定したわけであります(笑)。

 どうしよう、まずは、落ち着け、と思って、トイレの個室に座って、しばらく考えた。
 これは、何か裏があるに違いない、と思って、iPhoneでアルゼンチン、通貨と検索して、ああ、そうか、とその時点で初めて気がついた。

 アルゼンチンは、過去に経済危機で何度か債務不履行になっていて、ハイパーインフレも経験し、最近は落ち着いているようだけど、要するに、通貨に対する信用があまりない。
 だから、ヘタに日本やアメリカで両替業務をすると、業者としては、価値が不安定な紙幣という「在庫」を抱えることになってしまう。
 それで、両替ないんだ、と、腑に落ちた。
 同時に、一つ予想できたことがあった。

 到着ロビーにあった「空港タクシー」のカウンターを見ていたら、やっぱり!
 事前に料金を払うのだけれども、それを、ドルで払っている。
 やっぱり、ドルだよね。
 自国通貨が信用できなかったら、ドルに行くよね、普通。
 ドルだったら、持っている!
 良かった、と思って、カウンターに並んだ。

 ようやく、市内までのタクシーを事前払いして、移動できることになった。
 お釣りをアルゼンチンのお金でくれるかな、と思って期待していたら、カウンターの人、ドルでくれた。
 というわけで、アルゼンチンの通貨は、なかなか手に入らない。
 
 タクシーの予約券みたいなものを持って、カウンターの反対側で待っていろ、とか言うから、ぼんやりと立っていたら、おじさんがきて、こっちだこっちだという。

 やたらと荷物を持ちたがったけど、ぼくはほんとうに少ないので、いいよ、といったら、おじさんはすたすた歩いていって、一緒に、ほんの30メートルくらい先のタクシー乗り場まで行った。
 乗れ、というから乗ったら、おじさんが、「チップ、チップ」という。

 そのおじさんが運転手さんなのではなくて、運転手さんは、別にいらした。
 そのおじさんは、つまり、タクシー乗り場まで荷物を運ぶ人(ぼくの場合は運ばなかったけれど)だったのである。
 そのおじさんにドルでチップをさし上げた。
 ここでも、活躍するのは、やっぱりドルだ。
 
 ホテルに着いて、まだ朝9時過ぎだったのだけれども、部屋にもう入れると聞いて、本当にほっとした。
 フロントで、「ここでは両替はできるのか」と聞いたら、へんなことを言う。
 「私たちはしないけれども、もう少しすると、両替をする人が来るから、その人に頼めばいい」などと言う。
 いったい、どういうことか?
 現地の通貨を袋にいれたおじさんが、あいよっ、と現れるとでもいうのだろうか。

 この文章は、ホテルで、朝ごはんを食べながら書いている。
 朝ごはん代は部屋につけられて、それをクレジットカードで払うので、現金は必要がない。
 
 結局、アルゼンチンの通貨、未だに手に入っていない。
 私の人生は、これから、どうなってしまうのであろうか(笑)。
 とりあえず、24時間の飛行機のダメージをいやすために、しばらくベッドに横になってから、気を確かに持って街に探りにいこうと思う。

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