植田工から、心臓の弁形成の手術のために入院した経験を綴った「べんまく記」第10が送られてきました。


担当医として診察して頂いていたY先生から、僕は低侵襲の手術(MICS)が可能だと思うとのことで、その専門の手術が出来る教授にお願いしてくださるという流れで、目の前でYGC教授がご説明を下さっているとう状況です。


YGC教授は早速、弁閉鎖不全の症状がどの程度進行していて、どういう手術をするのかということを、インフォームドコンセント用にまとめられた心臓手術の本の図や、検査したエコーやCTの画像や動画を合わせながらご説明くださいます。また、手術はどのくらいの時間かかるものなのか、どのくらいのリスクを伴うものなのか、術後どのような経過で退院までどのような管理をしていくのかなど、一つ一つ丁寧にご説明くださいます。その間、私たちは「はい、はい、ははぁー、はい、はい、あー、はい。」というリズムのフレーズを繰り返すだけです。


低侵襲の開胸手術は、胸の真ん中を上下に切って開くのではなく、肋骨の間を左右に切開して上下に肋骨を押し広げてそこから心臓に到達するのだそうです。胸骨を切らないのでその分の回復が早いというメリットがあるそうですが、切開する部分が狭いので一人の手しか入れられず、そのぶん手術としての難易度も上がる手術なのだそうです。ただ、最近はこの手術を施す患者さんもとても増えているとのお話です。


などなど丁寧にお話をして頂くのですが、先生は手術のあとでお疲れ難じゃないないかなぁとそればかり気になって何だかソワソワします。話しの流れからちょっと逸れますが、これは病院に行って診てもらう時にもいつも思うことなのですが、診察の時、何となく先生はいま絶対に疲れているんだろうなぁという気持ちになります。名前を呼ばれて診察室に入って、症状(いつから、どこが、どれくらい痛い・おかしい)ということを手短に伝えて、あとは診てもらって先生に聞かれたら答える以上、で終了するというのが常です。


もう少し何か伝えてもいのかな?とか思うけど、結局自分の不安を伝えてるだけだろうから、別に病状の原因究明には大して役には立たないだろうなぁと思って控えます。自分の後ろに他にも患者さんがつまっていると思うと、それもまたプレッシャーに感じます。血の通ったコミュニケーションが、患者の不安を和らげて、免疫力も上がります的なこともあるかも知れませんが、とにかく短時間で正確な診断をしてもらえることが、自分にとってもみんなにとってハッピーだろうと思ったりまします。


話しが逸れましたが、しかし目の前のYGC先生も手術後にも関わらずとても丁寧にご説明下さいまして、もう明日は本当にどうか宜しくお願い致しますと家族と頭を下げるだけです。先生のご説明が終わると、18時の夕飯を食堂で食べながら兄も一緒に少し何ともない話しをして、ICUに入ってるあいだは避けてまた来るとのことで帰っていきました。


就寝までまだ少し時間があります。ベットでとにかく明日の朝から、明後日くらいまでどうなるんだかわからないけど、荷物だけまとめてあれば大丈夫だろうと、術後の日数別に下着などを小分けしたり、ワタワタ片しては確認します。そうこうしていると、20時頃外来の診察でご担当頂いてるY先生が病室まで来てくくださいました。入院以来初めてお会いしますが、連日手術でお忙しいのにわざわざお出でいただいて大変ありがとうございます、です。もう待ったなしの状態だなぁという気がしてきます。


しかしなんだかやり残したことばかりで明日になっちゃたなぁと思いながら、消灯してしまった病室で、ベットに横になりながらメールやLINEのやりとりをしている間に寝てしまいました。寝られない人は睡眠の薬を処方してくれるとのことでしたが、疲れやす過ぎて必要ありませんでした。

べんまく記_10