書生の植田工が、心臓の弁形成の手術のために入院して、復帰するまでの経緯を綴った「べんまく記」、第8回です。

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皆様前回もコメント沢山ありがとうございます。たったいま入院されていらっしゃる方がいらっしゃいますが、どうかお大事になさってください!私がいうのも憚られますが、みなさまもどうかお体大事にしてください。


さて、まだ入院2日目です(笑)。朝起きがけの体重計測からスタートです。82キロ、病院の体重計はしっかりしているので間違いないのでしょうけれど、こんなに体調が悪いのになんでこんなに太ってしまっているのだろうかと、本人でも思いました。運動不足と炭水化物の取り過ぎはあったかもしれませんが、心臓の症状と合わせて診断の時に先生にコレルテロールにも気をつけたほうがいいとのご忠告は頂きました。


7時半、待ちわびた朝食をいただきに食堂へ行くと、テレビはNHKがついています。ちょうど朝の連続テレビ小説「あさが来た」がやっています。先生の「花子とアン」以来で、何というドラマなのかすら判りませんでしたが、途中からなのに面白くて見入ってしまいました。全く話しの筋がわからなくても、いきなりその15分に引っ張り込まれます。手術の前日にNHKの朝の連ドラのスゴさを知りました。


食事が終わると、看護師のYさんから剃毛するようにバリカンを渡されました。T字のカミソリかと思っていたら電動のバリカンです。体幹部分は基本的に全部、脇の下から前腕、鼠蹊部から脚まで剃ります。何が感染とか悪影響を及ぼすのかわからないので、けっこうこういうのも、一つ一つ、これで大丈夫かなと心配になります。


翌日の手術の後はそのままICUなのはわかっていましたが、ICUに持ち込める荷物は決められていることを知りませんでした。入院してからその持ち込みの荷物は指示されたのですが、パジャマ2セット、前開きの肌着2枚、T字帯、バスタオル2枚など、それ以外の余計なものの持ち込みはできません。家族に来てもらわなくてもいいようにと準備して持ってきた荷物は、けっきょく一度持って帰ってもらわねばなりませんでした。


ICUへの持ち込みのパジャマ2セットということから類推しまして、ICUには長くても2日以上いることはないと見当します。パジャマ代わりにスエットとか短パンでもいいのかなとか最初は思いましたが、先が見えないデリケートな状況で指示されてないことをするよりかは、プロの指示通りにするが吉だろうと、足りないパジャマを1セット売店で買うことにします。「吸い飲み」は予め買ってきていたので、モーマンタイです。あと、ぜんぜん関係ないですが、Tというカタチの普遍性はなんでしょうか。(笑)


6階建ての6階に入院していて、1階に買い物に行くには、ナースステーションの向かいにある食堂の前を通ってエレベーターのところにいきます。午前中のうちに何度か行ったり来たりしているあいだに、春の高校野球選抜の全国大会の中継がテレビでやっています。


甲子園での試合は晴れている時にしかやっていないので、画面の中もやたらと清涼感に溢れてます。チラチラと横目に見えるその高校球児たちのハツラツとした光景が春の木漏れ日のように感じられて、なんだか不意に元気をもらうような気がします。いつ何が気持ちに晴れをあたえてれるかわからないものです。連続テレビ小説と高校野球が長年放映され続けているのもそういうものでしょうか。


持ち込みの荷物も一揃え整えているあいだに、またあっという間にお昼です。朝見た「あさが来た」を見ながら、お昼を頂きます(笑)。

べんまく記_8