アメリカ大統領選挙における、ドナルド・トランプ氏の勢いが止まらない。移民政策などにおける、その極端な発言から、一時的な支持は得ても、メインストリームにはなれないとみなされていたが、案外しぶとく、トップ争いに残っている。

一方、民主党では、ヒラリー・クリントン氏で決まりと思われていたのが、自らを社会主義者と言ってはばからないバーニー・サンダーズ氏に勢いがあり、特に若者を中心に支持を固めている。特に、不平等の是正を訴える政策は、人気が高い。

共和党のトランプ氏、民主党のサンダーズ氏という、いわば左右の両極端の候補が支持を集めるアメリカ大統領選挙。もし両氏が候補者になれば、アメリカ国民は極端と極端の間の選択を迫られる。今までの選挙とは異質のものとなる。

そこで、いわば「中道」の候補者として、富豪でニューヨーク前市長のマイケル・ブルームバーグ氏が立候補を検討するという流れになっている。しかし、ブルームバーグ氏がトランプ、サンダーズ両氏ほどの支持を集められるかどうかは未知数である。

左にしろ、右にしろ、極端な主張を唱える候補に支持が集まるのは、それだけ、アメリカ国内で現状に対する不満がたまってきているということだろう。今のままでは良いと誰も考えていない。ただ、その解決法は、人それぞれである、左もいれば、右もいる。

中道的な、穏健な保守主義のもとでの進歩主義が地味で支持を集められないのは、日本も同様である。日本やアメリカだけでなく、成熟していたはずのヨーロッパ各国でも、政治的に極端な主張が、支持を集める傾向がある。

経済では、好景気が減速するときに、うまくギアチェンジできるかがハードランディング、ソフトランディングという言葉で語られる。極端な政治的主張も、現実に接続するときには妥協せざるを得ない。極論のソフトランディングが必要な時代になってきた。