日本のお笑いについてのツイッターでの議論を楽しんでいる。
以前のような「炎上」と違って、お互いの意見の違いをきちんと表明しあえるようになったのは日本のネットの進歩かと思う。
そんな中、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんのコメディを、政治的に偏っているとか、一方的だという意見があったので、ちょっと整理したい。
海外のコメディの文法では、コメディアンは基本的に人権とか自由などの普遍的価値側に自分を置くことが多い。
だから、多数派よりは少数派、政権側よりは民衆側に自分を置く。
それは政治的な偏りというよりは、むしろ、コメディがある種の「啓蒙」と結びついているという文脈だと思う。
保守的なコメディアンがいないわけではないが、数としては少ない。
そのことを問題だという声がないわけではないが、実態としてはそうなっていて、ぼくはそれでいいのかなと思う。
コメディが弱いものとか少数派の側の味方だというのはそんなに悪いことではない。
そのようなコメディの文法からして、村本さんのスタイルは偏っているわけではなくて、むしろ標準だと思う。
日本国内で村本さんのコメディが偏っているという意見の人は、海外のことも知っていて、リベラルなコメディが保守的なコメディに比べて多いと言っている可能性よりも、そのような事情を知らないで日本のお笑いからの連想で言っているケースが多いんじゃないかとベイズ推定している。
(クオリア日記)