日本語には例えば光学的特性を表すものでもキラキラ、ギラギラ、ピカピカ、ツヤツヤ、テカテカ、など、さまざまなオノマトペがある。これらは、それだけ、クオリアの分類が細やかに行われていることを意味している。
日本の職人技における卓越にも、オノマトペが関係しているという話を聞く。たとえば金属加工をする際の仕上がりを認知し、先に挙げたようなオノマトペで表現することで、より「こだわり」の品質追求ができるのである。
以前、輿水精一さんや土屋守さんとつくった『ジャパニーズウィスキー』(新潮社)の取材の際にも、日本のウィスキーが世界一になる過程で、いかに細やかなクオリアの認識が重要であるかを感じた。クオリアの細やかさは日本の誇る文化だろう。
色で言えば、感覚的クオリアとしての色のアウェアネス内の表出は基本的に同じで、言葉の意味につながる志向的クオリアの細やかさが日本の文化の特徴と考えられる。職人技から、料理の細やかさ、そして茶道まで、クオリアの細やかさが日本列島を覆っている。