毎年観てるよ。サンタアナの風の日、目に入った埃を取ってあげるシーンとか、モリコーネの音楽話とホットチョコにマシュマロとかいうシーンもナイスですよ。
サンタアナの風とモリコーネの旋律カリフォルニアの内陸、モハーベ沙漠から吹き下ろすサンタアナの風は、秋から冬にかけて猛威を振るう。高温で乾燥したその風は、峡谷を抜け、太平洋岸へと駆け下りる。砂塵を巻き上げ、木々を揺らし、時には山火事を呼び起こす悪魔の息吹とも呼ばれる。空気は熱く乾き、肌を刺すように鋭く、すべてを浄化するかのように荒々しく吹き抜ける。そんな風の夜、孤独な旅人が沙漠の果てに立つ。埃まみれのコートを翻し、遠くの地平線を見つめる。彼の耳に、突然、旋律が響き始める。それはエンニオ・モリコーネの音楽だ。口笛の哀愁が風に乗って流れ、ギターの響きが砂漠の静寂を切り裂く。『続・夕陽のガンマン』の「黄金のエクスタシー」のような、緊張と壮大さが交錯するメロディー。風が唸りを上げ、塵が舞う中、トランペットの孤独な叫びが加わり、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』のハーモニカのように、過去の記憶を呼び起こす。風は旅人の心を揺さぶる。乾燥した空気が肺を満たし、熱い息が頰を焦がすのに、モリコーネの旋律は優しく包み込む。荒野の厳しさと、人間の儚さを描くその音楽は、サンタアナの風と完璧に重なる。風は破壊し、音楽は癒す。風は去りゆくものを運び、音楽は永遠の記憶を残す。やがて風が収まり、星空が広がる。旅人は歩き出す。背後で、モリコーネのメロディーが淡く残響する。サンタアナの風は、ただの自然現象ではない。それは人生の激情を象徴し、モリコーネの曲はそれを美しく昇華する。荒々しくも優しい、この二つの力が交わる時、世界は詩のように輝く。
