この記事を見られている方は少なくとも1回は
CT検査を受けられたことがあるのではないでしょうか。
その時にどのくらいの放射線被ばくがあるのか聞きましたか?
実は患者さんへの放射線被ばくの説明は義務化
されているのをご存じでしょうか。
基本的には放射線を用いた検査は、その正当性を説明しなければ
なりません。
正当性とは、受ける検査による利益(診断ができる、治療方針の決定など)
が、不利益(放射線被ばくによる健康へのリスク)を上回る場合のみ
検査を行いますよということです。
いきなりですが、当院の頭部CTの放射線吸収線量を示します。
頭部DLP:1112.80 (mGy・cm)
なんじゃこりゃ。全く意味が分からん。
ですよね。
これを計算して別の分かりやすく説明できる数値に変えますと、
2.56(mSv)
です。
いやいや、分からないよこれ。ですよね。
ここで我々が患者さんへ説明する時にはこう付け加えます。
『実は毎日我々は生きているだけで自然から放射線を浴びている
のをご存知でしょうか。
宇宙からくる宇宙放射線だったり、地中からも出ています。
なんなら携帯電話や電子レンジとかからも放射線は出ている
んですよ。
これら自然に浴びる放射線を足してみると1年間で
2.1~3.6(mSv)
ほどです。』
と。
こう説明すると、なんだ、頭部検査は自然放射線量と比べても
そこまで大きくないんだと分かってもらえます。
そして、この検査で原因が分かれば1年間自然に浴びる放射線量くらいで
済むので安心の方が大きいですよと。
患者さんが知り得る情報はおそらくここらへんまでだと思います。
更にここからは難しい説明になりますので基本的には伝えない情報
です。
まず放射線の特性として照射されたら直線で進みますが、
何かにぶつかると散乱線というものが発生します。
散乱線はごく微量ですが、目的の場所以外に飛んでいき被ばく
します。
また、組織にはそれぞれ放射線の感受性が違い、同じ放射線量でも
そのリスクは全く違います。
例えば目の水晶体。
これは非常に放射線感受性が強く、放射線被ばくの影響を受けやすいです。
逆に骨などは感受性が低く、放射線被ばくの影響はあまりありません。
これらを踏まえて当院では放射線被ばくの影響を出来る限り少なくする
ように以下のことを実践しています。
・散乱線による被ばくを減らすために、目的の部位以外は必ず放射線防護衣をかけて放
射線が当たらないようにする。
・水晶体部の撮影時は物理的に放射線量を減らす。
・診断に耐えうるギリギリの放射線量で撮影する。
・小児や若年者では必ず医師と必要性を話し合う。
次に、他の部位ではどうでしょうか。
当院では、
頚椎DLP:360(mGy・cm)
1.94(mSv)
胸部DLP:400(mGy・cm)
6.77(mSv)
腹部DLP:325(mGy・cm)
4.88(mSv)
腰椎DLP:643(mGy・cm)
12.22(mSv)
mGy・cmとmSvがそれぞれ違うのは撮影範囲と部位の
換算係数の違いです。
やはり腰椎など大きな部位は放射線被ばくが大きいですね。