[源氏物語コラム] 09:物語を気に入られるために | コンデジ片手に出かけよう

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夫に先立たれ幼子を抱えたシンママ。偶然に実力を認められて仕事を持つことになったけど、目的は組織のTopに認められるような企画を出すことが、職を与えれてくれた上司がその組織で勢力を持つことに対する恩返し。さて、そんな立場のシンママ・まひろ(紫式部)はどう考えてどんな努力などをするのか?
大河ドラマ『光る君へ』の第32回以降の最終パートはそんな姿が描かれると思います。


源氏物語が、当時の最大の読者・一条天皇に認められるためにどんな工夫をしたのか考えつくものをまとめてみました。



☆一条天皇が好む歴史的なものを盛り込んだ


一条天皇は『日本書記』などの歴史的な書物に興味があったといわれます。そこで、一読しただけでは一般的にはわかりにくいけど、わかっている人が読むと気が付く次のような題材を盛り込んでいそうです。
①:難波の津の和歌 (仁徳天皇即位に関する話)
②:三韓征伐など神功皇后の話題 (皇位継承につながる日本書記の記載)
③:仏教伝来及び神仏照合について (玉鬘での記述のベース)
あと、一条天皇好みではありませんが、宇治十帖での『宇治八の宮』のことは日本書記と関連しそうです。
⇒紫式部日記では、一条天皇が源氏物語を読んで『作者は日本書記のことをよく知っているに違いない』といい、それを聞いた宮中女房達に『日本期の局』と言われて嫌だったと書いています。ただ、これって考え方によっては『炎上を逆手に取っている』とも考えれなくないですかね?


☆和歌を数多く用いている


平安時代当時に貴族によって和歌はコミュニケーションのための重要なアイテム。そして源氏物語には800首弱の和歌があるといわれています。和歌は、読み方によっては様々な解釈ができることもありそうです。そんな視点で、紫式部は上手に和歌を使っているんでしょうね。
また、使われている和歌も『万葉集』『古今和歌集』『平安時代の有名歌人の歌』などを参考にしていると思いますので、読者にとってはその出展を含めて我が意にできるという点がありそうです。
※この紫式部(まひろ)と和歌の関係は、光る君への序盤の源倫子のサロンなどで紹介されていますね。


☆平安貴族に人気だった事象などを参考に物語を作る。


一条天皇が源氏物語を読みたいと思うには、まずは宮中などで評判になること。そうすると、当時の流行りの要素などを取り入れるのが近道ですね。源氏物語で使われている当時はやっていただろう様々な要素は次のようなものがあるかもしれません。
◎清水寺・賀茂社(上賀茂神社・下賀茂神社)など平安京にある社寺
◎石山寺・長谷寺・石清水八幡・住吉大社など、当時に人気があった場所
◎蜻蛉日記・住吉物語・竹取物語など人気があった書物
◎『菅原道真の祟り』など、当時に興味を持たれていた話題・ゴシップ


あと、物語を作る上でのテクニックとしては、過去に書かれていたことを再度見直したくなるストーリー作り。そうすることによって、物語自体が一過性の読み物ではなく多くの人に複製され、それによって更に読者が増えていくということでしょうね。