[光る君へ] コラム12:源氏物語を連想させる演出の妙 | コンデジ片手に出かけよう

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私の旅の思い出を紹介します。


毎回楽しく見ている「光る君へ」。ただ、奥が深すぎてついて行けていません。そんな時に出会ったのが「美術館ナビ」の光る君へ関連の特集。



第4回「五節の舞姫」の回想記事で次のようなことが書かれています。

https://artexhibition.jp/topics/news/20240128-AEJ1830439

”「論語」は孔子の教えをまとめたもの。荀子、墨子も中国の代表的な思想家で、まひろが父を通じて様々な中国の古典に触れていたことがわかります。第1話「約束の月」の情景が思い起こされます。”
源氏物語なのですが、様々なことでそれまでの物語を思い起こさせるような仕掛けがいっぱいなのが特徴かもしれません。
※そして、様々な光る君へ関連記事でこんなことが書いてあったら、途中から見た人が過去回を見たいと思うかもしれませんね。




「光る君へ」は、わかっている範囲の紫式部の生涯を描いたものがベース。なので紫式部日記や紫式部集(和歌集)をベースに作られているもの。源氏物語に出てくる様々なエピソードにつながるものも大石静さんの想像で加えられていると思います。



そして、その中には様々な古典や当時流行っていた物語などもチラっと話題にして、まひろ(紫式部)の聡明さや物事を見る目を描いていますね。第六回の蜻蛉日記についてのまひろ(紫式部)が次に言った「蜻蛉日記は、身分の高い人と結ばれた自慢話のように見えます」は見事。まあ、他にいるサロンの女性とは意見が合いませんが、赤染衛門はその意見を認めている感じでしたね。



あと、藤原道長が「漢詩の会」で披露した次の歌も見事な演出です。
重陽の節句に賜った菊花酒は杯に満ちているが、一体誰と一緒にこれを飲むというのか。宮廷に生える菊花を掌にいっぱいつかんで、一人ぽつねんと君を偲ぶ。君を偲びつつじっと菊花のそばに立ち、日なが一日、君の「菊花」詩を口ずさんでいる。



重陽の節句(9月9日)と菊の組み合わせで「紫式部日記」に出てくるのは、源倫子からの「菊の着せ綿」の話題。1008年9月9日、紫式部に「老いをぬぐい去る」という「菊の着せ綿」が藤原道長の正妻・源倫子から贈られた。そして紫式部は「菊の露 わかゆばかりに 袖ふれて 花のあるじに 千代はゆづらむ」という和歌を詠んだと風俗博物館の展示で見た気がします。源倫子と紫式部は光る君へでは恋のライバル、そして将来は上司(源倫子・道長)と使用人(紫式部)の関係ですから、ちょっと面白いかも。



他にも源氏物語には様々な平安時代に流行った物語を参考にした部分が出てくるんですね。伊勢物語の歌を参考にして、道長が次の和歌をまひろに贈っていましたね。
ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 恋しき人の 見まくほしさに
越えてはいけない垣根というとやっぱり源氏物語の光源氏と若紫(紫の上)の出会いを連想しますかね?
※写真は土佐光吉筆・若紫の図


今後の物語進行でどんなモチーフが出てくるのか、そして源氏物語に使われる古典にはどんなものがあるのか、詳しく知りたいです。