[源氏物語] 犬君(若紫の友人) 【第5帖・若紫他より】 | コンデジ片手に出かけよう

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犬君は若紫(紫の上の幼い頃)の友達的存在。若紫が北山のの家に引き取られていた時の女房(使用人)の娘と連想される童女。物語での内容からすると、若紫よりも活発な女の子という印象があります。犬君が出てくる場面は「第5帖・若紫」「第7帖・紅葉賀」で、紫の上の回想として「第35帖・若菜下」にも出てきます。
※Top写真は、絵師・土佐光筆の源氏物語絵屏風の若紫の一部 (重文:和泉市立久保総記念美術館蔵)


◇第5帖・若紫から
若紫が子雀捕まえて伏籠(*)で飼っていたのですが、友達の犬君が逃がしてしまいます。そして、その子雀を追いかけて若紫がの妃に出たところを、光源氏に垣間見られます。その時に若紫を見た光源氏は「永遠の恋人・藤壺」に心を動かされます。その後、若紫の世話をしていた少納言の乳母光源氏が亡くなり、若紫は光源氏に引き取られることになります。
(*)伏籠は、衣服に香を薫きしめるための調度になります。



◇第7帖・紅葉賀より
光源氏19歳・若紫10歳の元旦に参内しようとした源氏が紫の君の部屋を覗くと、紫の君は新年早々雛遊びの道具類を広げ、、若紫は雛遊びをしています。そこに犬君が現れて、若紫が遊んでいる雛道具を「追儺だ!」といって蹴散らしていきます。そして、雛の中に源氏の君を作っていることが書かれています。
その後、女房達は若紫に対して「今年からは少し大人になりなさい。十を過ぎると、雛遊びは自然に飽きるものですよ。こうして夫を得ることができたのですから」といわれてますね。
※写真は平安神宮の追儺式より



◇第35帖・若菜下より
懐妊した女三宮のもとに通う光源氏を見て、紫の上は「犬君と遊んでいたころは良かった」と回想するシーンがあります。女三宮の懐妊は柏木との不義の子。人間的に幼い女三宮のために、最終的に心労等が有って紫の上は病気になり、光源氏と紫の上の人生は暗転していきますね。
※写真は第34帖・若菜上で、それ以降の紫の上の人生が暗転していくきっかけとなったシーン



「戌年」は十二支11番目。そして元々は象形文字から来たもので、は元々一種の丸い刃の広い短い柄の戦闘用の斧から来ているそうです。また、古いものを切り裂き新しいものを生まれさせるという意味もあるのかなと思います。
犬君が登場する場面の紫式部は転機を迎えています。
◎第5帖・若紫 :光源氏の引き取られる要因が生まれている
◎第7帖・紅葉賀:少女時代を抜け出し、実質的に光源氏の妻となる
◎第35帖・若菜下:女三宮の件をきっかけに、紫の上と光源氏の心が依然と比べると通いずらくなる。
紫式部は、人の名前も気を配って設定していたんですね