日本人男女はいったい何歳まで生きるのか。何歳まで健康でいられるのか。このことを最も真剣に考えているのは間違いなく生命保険会社です。そして政府機関の中では何と言っても厚生労働省と年金機構です。なぜなら、その見積もりの正確さが直接的に彼らの財政や経営を左右するからです。
こうした企業や行政機関は、統計を使って将来を予測しています。政府の統計では出生や死亡を個別に把握しています。例えば昨年1年間に亡くなった人は年齢別や死因別で分かります。もちろん一昨年以前の情報もありますので、それらを用いて平均的な日本人の男女が何歳まで生きられるのかを推計するわけです。
推計された値を「平均余命」と呼びます。平均余命は年齢別に計算されます。0歳児の平均余命を特別に「平均寿命」と呼ぶことがあります。その年に生まれた赤ん坊が平均的に何歳まで生きられるのかを数字で表したものです。私たちが何歳まで生きられるのかという問いに対しては、まずこの「平均余命」が公式な回答になると言えます。
2020年に厚生労働省から発表された日本人の平均寿命(2019年の値)は男性81.47歳、女性87.45歳でいずれも過去最高になりました。
1980年代中頃まで、平均寿命の長い国はスイスやスウェーデンなどの欧州諸国でした。ところが1980年代中頃から2000年代初頭までの十数年間、日本人が男女とも平均寿命世界一になり、日本食が長寿の秘密ではないかと話題になりました。2000年代に入ってから香港が台頭してきて、しばらくの間は日本と香港の首位争いがありました。2019年の値では男女とも香港が1位、日本は男性では3位(香港、スイスに次ぐ)、女性は2位(香港に次ぐ)となっています。以前ほど独走状態ではないにせよ、我が国が依然として平均寿命で世界トップクラスにあることには変わりありません。
こうしたことから、還暦を迎えてもあと数年で自分は死んでしまうと思っている人は少ないはずです。日本人はだいたい80歳を超えて生きるのだな、という感覚を持っている人が多いと思われます。
(図表1)
出所:厚生労働省「令和元年簡易生命表」「平均寿命の国際比較」
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