バッタモンダーに対する怒りを胸にランボーグと一戦交えるキュアスカイ。



「攻撃に当たればタダでは済まなそうだが、当たらなければタダで済む」


「懐に入ってしまえば拳は剣より強い」


と、戦闘中も“武”な名言を繰り出します。



善戦するスカイでしたが、バッタモンダーは余裕の表情。「お楽しみはこれから」と言いながらその指を鳴らすとランボーグの背中にどこか見覚えのあるマントが現れ・・・



覚えがないはずがありません。スカイにとっては気付きたくなかったし、認めたくもなかったと思います… 

今戦っている相手は


シャララ隊長を素体にしたランボーグ


でした。




その名も『シャララボーグ』


シャララ隊長の身体にエナジーを注ぐことでランボーグ化、そしてそれへの攻撃は全て隊長本人へのダメージになっていました。



スカイに睨まれ、怒鳴られたバッタモンダーはあの撤退からすぐに、プライドを破壊された腹いせに彼女の最も敬う人物を利用していたのでした。


そして目的はプリンセスの誘拐という組織としての任務からプリキュアの精神を殺す個人的な復讐へと変わっていったのですね。


真実を知ってしまったスカイは、ランボーグの攻撃にも立ちつくしたまま、力尽きてしまい…



直後にプリズムたちが駆けつけて攻撃を始めるも必死に立ち塞がり、涙ながらに事情を打ち明けるスカイ、、



命の恩人が、尊敬するひとが、目標としているひとが、大切なひとが・・・敵になる。酷すぎる展開です。



「“ましろさん”… たすけて…」


プリズム呼びではなく、ましろさん呼びで相棒に助けを求めたスカイ。いまはプリキュアとしてではなく、一友達としてのましろんに助けてほしかったのかもしれませんね。




浄化すれば救出できると考えたバタフライは決め技であるタイタニック・レインボーを発動します


今までだったらそれで解決だったでしょうね。

そう。今までだったら・・・




浄化技を放とうとするプリキュアを目の前にしたバッタモンダーの顔には不気味な笑みが。



何かを察したエルちゃんはすぐにバタフライを

制止。こういうときの妖精や子どもキャラの勘っかなり凄いイメージがあります。


バッタモンダーの口から語られた衝撃の事実。

それは、


シャララ隊長はアンダーグエナジーによって生命維持をしているということ。


今作に限らず、プリキュアたちがいつも使っている決め技は敵を倒すというよりは、『闇の力を消し去る』浄化の技です。今回はアンダーグエナジーがその闇の力に該当します。


そして、そのエナジーを消してしまうということが何を意味するかといえば



シャララ隊長のです。




惨い…惨すぎる。シリーズ始まって以来、こんな地獄の展開が今までのエピソードであったでしょうか。


13年前にはプリキュアの家族がラスボスの手によって命を奪われました。しかし、今回の状況はそれとはまたわけが違います。


大切な人の命を自ら奪うか、それとも多くの犠牲を出した上で自分が力尽きるか・・・


どちらを選んでも地獄です。


どう転んでも明るい未来はない。待っているのは奇跡でも起きない限り100%の暗黒の世界。そんな状況に置かれて、誰が絶望せずにいられるでしょうか。


合理的に考えれば『正解』はシャララ隊長もろとも浄化することなんですよね。そうしなければ多数の犠牲者がでますが、いつも通り浄化すれば犠牲は1人で済みます。


今回のスカイの言動は民を守る者としては、プリキュアとしては、ヒーローとしては失格だと思います。本来戦いに私情を持ち出してはいけないのです。みんなを守るために淡々と行動する。それが理想です。


では、もし筆者がスカイと同じ立場になったなら大切なひとを殺めるのかというと、


絶対に無理です。ぜっっっったいにできません。


もし怪物化してしまった大切な人を問答無用で攻撃してくる者がいたら全力で止めます。


「あなたの判断は正しい!でも止めさせてもらう‼️」とよくわからない言葉を叫ぶかもしれませんね。


頭ではわかっています。倒したほうが合理的なことは… しかし、ソラは人間ですし筆者も人間です


感情があるのです。倒せません。ロボットでない限り無理です。


不思議なものですね。正しいことをしているもを叱責するなんて…


でも、正しいことをすればそれで円満解決になるとは限らないのです。正しい選択をしても心が痛んで苦しいときだってある。正義は必ずしも『快』ではないということ、、


時と場合によっては大切な人が相手でもそれを消し去らなくてはならない。それがヒーローだというなら


“正義”っていったいなんなんですかね?





体力切れでバッタモンダーたちは一時撤退。

なんとか猶予は与えられましたが、一時凌ぎ・問題解決先延ばしにすぎません。


当然、現時点でシャララ隊長を助ける確実な方法などあるわけがなく、ソラ仲間たちの励ましにも自暴自棄に。。そして・・・






「ヒーローなんて、、わたしもう… 戦いたくない‼️」





そう叫んだ直後に変身アイテムのミラージュペンが消滅。スカイトーンは消滅まではしませんでしたが、その機能を失ったかのように灰色に変色してしまいました。


これでソラはプリキュアの変身資格を失ってしまいました。



大切な人を殺すか自分たちが死ぬか。浄化さえも許されない。その選択をさせるバッタモンダーは何という悪魔なのでしょう。なんという鬼畜なのでしょう。


小物化が止まらないとか呑気なことをいっていた筆者の認識は甘かったですね。



まさに地獄。まさに絶望。


これから先、ソラとシャララ隊長を待つ運命とはいったいどのようなものでしょうか・・・


シャララ隊長の言葉が浮かびます。




「正義とは何なのか、ヒーローは一生考え続けなくてはならない」


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