山伏山(やまぶしやま)保存会が収蔵庫に保管していた敷物が、かつて山のご神体人形を載せる床の敷物として使われていたことが分かったそうです。現在は巡行の際に床に何も敷いてなく、「沿道から見えない床にまで敷物で飾っていたとは」と保存会の方も感心しておられるそうです。
敷物は、縦約2.5メートル、横約1.5メートルと、縦2.1メートル、横0.8メートルの2枚。毛を押し固めた布の「毛氈(もうせん)」(フェルト)製で、作風から19世紀後半のものとみられています。保存会から依頼を受けた川島織物セルコンの方が調査されましたところ、2枚を組み合わせると、山の床とほぼ同じ寸法。ご神体を立てる棒の穴や、山に立てる真松(しんまつ)の穴の位置が、敷物を裁断した形と一致したそうです。敷物は、顔料や染料をのりと混ぜ合わせて接布に押しつける木版捺染(なせん)という技法で染色。表面の摩耗が著しいものの、文様が11~12世紀のイスラム装飾の幾何学文様であることや、電子顕微鏡による調査で、毛氈の毛の断面がトルコのアンゴラヤギ
の毛に極めて似ていることも分かり、敷物の産地を探る手がかりとして期待されているとの事です。13日~16日の同保存会の会所飾りで、額装した毛氈を披露されますので、皆さんもご覧になれますよ
着物の裏地に凝ったり、昔の方は見えないところにまで神経をいきわたらせておられたのですね。(新聞記事より抜粋)