監督 フラニー・アームストロング

語り部(ピート・ポスルスウェイト)

2009年/イギリス

 

 温暖化等による気候変動によって、

地球環境が取り返しの使いない状況なったのは2055年。

その時代から2000年前半の様子から振り返るというSF映画。

実際の映像が多く使われており、

あの時、我々は、できることをなぜしなかったのか?

 と見る者に語りかけてくる。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

 実際の歴史を振り返ると、1972年にシンクタンク:ローマクラブの『成長の限界』で環境問題について取り組むきっかけが作られた。

「このままの状態で人口増加や環境汚染が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と世界に向けて警鐘を鳴らした。

 

 

 再生可能エネルギー。イギリスで風力発電施設建設に心血を注ぐ男性がいる。しかし反対派も多い。景観の問題、低周波音、シャドーフリッカー。挙句の果てには不動産の資産価値が下がる、ともいいだす。結果は、反対派が押切り、建設は断念された。

 反対派の人がこんなことをいう。

「地球温暖化はもちろん心配している。みんな真剣に再生エネルギーの事を考えている。当たり前のこと」

 つまりこういうことだろう。

 総論として「環境保全は必要だ。賛成だ」しかし「自分の生活圏内でやるのは嫌だ。よそでやってくれ」人は身勝手なのだ。

 

 

 文明を享受する大国の国民たちがいる一方で、アフリカには貧困と飢餓がはびこる。飲み水さえ満足にない。やみくもな焼き畑農業は生態系を破壊し、過剰な耕作は大地を疲弊させる。

 先進国の大企業は貧しい途上国の天然資源の開発をする。企業は儲かるが、途上国の自然は破壊され、人々は困窮していく。彼らは自然からの恵みが生活の糧となっているからだ。

 

 気候変動によって異常な天候が引き起こされる。2005年8月、ハリケーン・カトリーナがアメリカ南東部を襲った。多くの住民は車で他所へ避難したが、残ったものもいる。その中のひとりの男は、家に孤立した被災者たちを数多く自分のボートを使い助け出した。しかし、その男はそれまで築き上げてきた生活の糧をすべて失った。

 

「2度、という言葉を覚えていて欲しい」という男性がいる。

 2015年、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択された。

 パリ協定では2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示され、世界共通の「2度目標」が掲げられた。地球の温度があと2度上昇すれば、気候変動は後戻りできない状況となる、ということだ。

 

 そして映画は2030年以降の世界の状況を映し出していく。熱波、山火事、メタンガスの噴出、豪雨、洪水、砂漠化、戦争が拍車をかける。そして自殺率の増加…。

 

 

 人類は危機がそこに迫っていることがわかっていたのに何もしなかった。しかし、今ならまだ間に合う。地球がダメになる前に考え行動しなければならない。

 Think Globally、 Act Locally「地球規模で考え、足元から行動せよ」 が大切なのだろう。