監督 デヴィッド・リンチ

ジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)

ドロシー・ヴァレンズ(イザベラ・ロッセリーニ)

フランク・ブース(デニス・ホッパー)

サンディ・ウィリアムズ(ローラ・ダーン)

ジョン・ウィリアムズ(ジョージ・ディッカーソン)

ベン(ディーン・ストックウェル)

ウィリアムズ夫人(ホープ・ラング)

ドン ドロシーの夫

ドニー ドロシーの息子

ゴードン 黄色いブレザーの刑事

1986年/アメリカ

 

フランクの狂気がほとばしり、

気色の悪い取り巻きたちがにやける。

事件の深みへとはまり

そこにおぞましい人種たちの生態を目の当たりにするジェフリー。

 

お勧め度

★★★★★

 

 

 満身創痍で路上で目覚めたジェフリー。前の晩にフランク一味に連れ出され、脅され、もてあそばれ、殴りつけられて気を失っていたのだ。家に戻り、ドロシーとの関係を思い苦悩する。

 

ジェフリー

 

 サンディに電話で相談し、サンディの父のウィリアムズ刑事に出来事を話すことにする。警察署へ行くと、とある部屋に黄色いブレザーを着た男を見かける。ネームプレートにはゴードンとある。フランクが口にしていた名前だ。

 

ゴードン

 

「ゴードンが乗り込んで一切合切持ち出した…」

 さらには、ジェフリーが防虫業者に化けてドロシーの部屋に行ったときに訪ねて来てもいる。この男は一連の騒動に関係している、ジェフリーは結論付ける、ウィリアムズ刑事には会わずに家に戻る。

 

 その夜、ジェフリーはウィリアムズ刑事の家を訪ねる。サンディが出てきてジェフリーの殴られた跡のある顔を見て驚く。ウィリアムズ刑事は「整形に失敗したのかね」と冗談をいいながら自分の書斎へ連れていく。そこでジェフリーは一連の出来事を話す。隠し撮りした写真を見て、ウィリアムズ刑事は一瞬凍り付く。ゴードンが映っていたからだ。

「娘も関係しているのか」とウィリアムズ刑事は聞くがジェフリーはとぼける。

「もうやめることだ」というウィリアムズ刑事の言葉にうなずくジェフリー。

「娘は巻き込まないでほしい」ウィリアムズ刑事は念を押す。

 

ウィリアムズ刑事     ジェフリー

 

 金曜の夜、ジェフリーとサンディはパーティーに出かける。一緒に踊り、互いに愛し合っていることを確認する。

 

サンディ     ジェフリー

 

 会場を後にして、二人で車に乗っていると、あとからつけてくる車がある。ジェフリーはフランクかと思うが、実はサンディのボーイフレンドのマイクとその友人たちだった。マイクは彼女を取られたと怒っている。ジェフリーは仕方なく車を止め降りる。そのとき目の前の一軒家の庭に全裸のドロシーが錯乱して出てくる。ドロシーはジェフリーに助けを求め、ジェフリーはドロシーを抱き車に乗せる。それを見てサンディも協力しドロシーを介護する。マイクはその様子を見て驚き「悪かったよ」といって立ち去っていく。

 

サンディ  ドロシー  ジェフリー

 

二人はドロシーを連れてサンディの家へ行く。

「警察に連絡して。救急車も呼んで」とサンディは家にいた母親に頼む。ウィリアムズ刑事は不在だ。

ドロシーはジェフリーに抱き着き「私の秘密の恋人、抱いて」と囁く。それを見たサンディはジェフリーとドロシーの関係に気が付き、動揺する。

「彼の一部をもらったの」ドロシーはサンディのほうを見ていう。サンディは耐えられないという表情をしてジェフリーを見つめる。ジェフリーは首を振ることしかできない。サンディの母親はサンディを慰め、困った顔をしてジェフリーの顔を見つめる。

 

ジェフリーは救急車へ同乗しドロシーを病院へ届け、その足でドロシーのアパートへ行く。中に入ると、ドンが椅子に座って死んでおり、ゴードンが立ったまま死んでいる。

 

ドン

 

ゴードン

 

 ジェフリーは、ゴードンの腰の警察無線でウィリアムズ刑事に連絡し、ドロシーの部屋に来るように依頼する。しかしその内容は、ちょうどアパートに向かっていたフランクも聞いていた。それに気が付いたジェフリーは「寝室に隠れている」と無線で嘘をいい、ゴードンの拳銃を抜き取りクローゼットに隠れる。そこへ、フランクが勝ち誇ったような態度でやってくる。

「全部聞いていているぞ!」

そういって寝室へ入って行くが、ジェフリーがいないことがわかると切れて叫び始める。

 

フランク

 

そして、居間に戻ったフランクはクローゼットに目をつける。中ではジェフリーが銃を構えている…。

 

ジェフリー

 

 

 

 一応ハッピーエンドとなってはいる。綺麗なコマドリが虫をくわえている。醜と美は物事の両面なのか。苦しさと快楽、喜びと悲しみは、対立するのものではなく一続きの地平線上にあるものなのか。平穏な情景で映画は終わるが、何かしら不穏な影のにおいがする。

 

 つなぎに困ると、「炎」を出すのはリンチの癖なのか、激しい風が吹いて焔が激しく揺れて消えていく。それを見ると、私は心が震えるのだ。

 

 

ブルーベルベット

 

 

デヴィッド・リンチ:アートライフ(字幕版)