監督 JOSHUA LONG

Mary(Stella Charrington)

Dead Mary(Edie Vann)

 

敬愛するブロガーの方から教えていただいたYouTubeのホラー・ショート・フィルム。

 

https://www.youtube.com/watch?v=NEtnmblohY8

 

死体写真を撮る母娘の話。母親と娘のふたりで、

写真を撮って歩いている。時代は1900年あたりだろうか。

古めかしい服装をして、古い大きなカメラを携えている。

 

お勧め度

★★★★★

 

「死とは、いかに生きてきたかを表すものよ」

と母親は幼い娘にいう

「お母さんが死んだら、誰が私の面倒を見てくれるの」

母と子のささやきが聞こえてくる。

2人ともよそ行きの黒い服を着て、きちんとした身なりをしている。

 

家の中で泣く別の母親。幼い娘を亡くしたのだ。

 

娘を失った母親

 

そこに、身なりを整えた母娘が訪ねてくる。

幼い娘は馬から落ちて死んでしまった。

訪ねてきた母娘は、死体の写真を撮ることを仕事にしている。

遺族にとってその写真は大事な思い出となるのだ。

 

 

生きているメアリー

 

母親は娘に道具を整えるように指示する。

娘はまだ幼く縫いぐるみを大事そう胸の前で持っている。

 

庭では死んだ娘の父親が墓穴を掘っている。

 

 

娘を失った母親に説明をする。

「生きていた時と同じような写真を撮ることができます」

娘を失った母親はサンプルの写真を見て涙ぐむ。

「娘のいい思い出になるわ」

死んだ娘と生きている娘。偶然にも、二人の名前はメアリーだった。年頃も一緒。

 

生きているメアリー

 

「始めるわよ」

母親は生きているメアリーに準備を促す。

母親は胸を病んでいるようだ。しきりに咳をする。

 

生きているメアリーの母親

 

娘は2週間前に亡くなっている。

死体は死臭を発している。

 

死んでいるメアリー     生きているメアリー

 

棺に入っている娘の目には金貨が置かれている。

 

 

「生きていた時と同じようにしてあげて」

メアリーは母親の言いつけに従って、写真を撮る。

そのさい、死んでいるメアリーの右目に置かれていた金貨を

取り上げて口の中に恐る恐る押し込む。

 

 

左目の金も取り除く。

メアリーは緊張する。

馬から落ちた娘は

首の骨を折って死んでしまったのだ。

 

メアリーがカメラのレンズを覗くと、

棺の中のメアリーは逆さ見える。

 

 

映し終える寸前に首がガクリと前へ折れる。

 出来上がった写真を外で待っていた母親に見せると

「ぼやけている」

といって映し直しを言いつける。

首が前に折れてしまったのでぼやけてしまったのだ。

 

生きているメアリーが再び家に入ると、

死んでいるメアリーは棺桶から椅子に移動している。

凍りつく生きているメアリー。

そこに死んだメアリーの父が現れて

死んでいるメアリーを揺り椅子に移したこと告げる。

 

 

「生きていた時のようにしてやりたかった。

あのたわけた馬が娘を殺してしまった!」

 そういって家を出ていく。

 

生きているメアリーは死んでいるメアリーの瞼を開けて

スプーンで眼球の位置を直す。

生きているときのように目を整える。

 

 

 

生きているメアリーがレンズを覗くと、

死んでいるメアリーが不気味に微笑む。

生きているメアリーは驚き、

カメラから目を離して直接見ると、

死んだメアリーは元のママ椅子に座っている。

生きているメアリーが再びレンズを覗くと

椅子には誰も座っていない。

直接見ると、死んだメアリーはそのまま椅子に座っている。

 

再びレンズを覗くと椅子には誰もしない。

 

 

生きているメアリーは、カメラをパンして部屋の中を確認する。

そうすると、死んだメアリーが座っていた揺り椅子が、

誰もいないのに不気味にゆれている。

 

カメラのレンズから目を外すと

カメラのすぐ前に、死んでいるメアリーがたっている。

 

 

のけぞる生きているメアリー。

生きているメアリーはいつの間にか揺り椅子に座っている。

そして、死んでいたはずのメアリーが

生きていたはずのメアリーの写真を写す。

 

写真は出来上がり、

死んでいたはずのメアリーが家から出てくる。

娘を失った夫婦は、出来上がった写真を見て

「生きているようだ」といって涙ぐむ。

家から出てきた死んでいたはずのメアリーは、

軽く咳をして、

口から金貨を取り出す。

 

 

 「死とは、いかに生きてきたかを表すものだ」と冒頭で母親がいっていたように、最後には死体写真を撮られる側に回ってしまったメアリー。あらかじめ死んでいたメアリーは、生きたメアリーとなって見知らぬ母親と一緒に写真を撮る行脚に同行することになる。

 10分に満たない身近なフィルムだが、十分に続々観を楽しむことができる。金貨を口に含ませるシーンはざわざわする。このシーンが後で深い意味を持ってくるとは、うまく伏線を回収している。