監督 ロー・ウェイ

アロン(ジャッキー・チェン)

レイ(ノラ・ミャオ)

1976年/香港

 

監督は『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』のロー・ウェイ。

台湾人のアロンが

残虐非道なふるまいをする日本人武闘家に抵抗して

中国武術を駆使して戦っていく。

『怒りの鉄拳』の後日譚として、

ロー・ウェイ監督が撮った作品。

ジャッキー・チェンには興味はないが、

ノラ・ミャオが出ているので見てみた。

 

お勧め度

★★★☆☆

 

 

 昭和16年、日本人が統治している台湾。中国本土から精武館道場の一行が日本軍の弾圧から逃れ台湾・鹿港へやってくる。レイは兄弟子のチェン・チン(ブルース・リー)の遺品であるヌンチャクを上陸早々置き引きにあってしまう。盗んだのは地元のコソ泥アロンとソンポクだった。アロンは孤児でソンポクに育てられたのだ。

 

ソンポク     アロン

 

レイ

 

 武道の心得が多少あるアロンは、地元鹿港の武道集団大陽門のボスから入門して仕事を手伝うように誘われるが断る。大陽門は地元の住民を苦しめている集団で、アロンには仕事を手伝う気がなかったのだ。

 アロンは「地元の者からは盗まず、よそ者から盗む」というモットーを泥棒の心意気として標榜する少しピントのずれた男なのだ。

 

アロン

 

 

 断ったために大陽門の連中に集団で暴行されるアロンだったが、盗んだヌンチャクを振り回し、いっとき相手側を圧倒するが、扱いを良く知らずに自分で頭を打ってしまい、結局リンチにあって、道端に捨てられる。

 

 それを発見したのがレイたち精武館の一行だった。盗まれたヌンチャクを探しているときだった。アロンはヌンチャクとともに打ち捨てられ虫の息だった。レイは身を寄せていた祖父ホイの家へ連れ返り介抱する。ホイも武術家で道場を主宰しており、地元では名の知れた大御所だ。

 

 台湾では日本人の岡村が主宰する武道集団大和門が幅を利かせていた。岡村が風呂に入っているときに数名の武術者が岡村を襲うが圧倒的な強さで岡村は敵を撃退する。

 

千代子       岡村

 

 相手は自地元の七嵌武館の連中と目星をつけて、翌日、娘の千代子を連れて乗り込んでいく。山岡の娘の千代子も武術の達人だ。千代子は、七嵌武館の門下生たちを叩きのめす。それを岡本は満足げに見ている。岡本は、館長の男に武術家たちの会合に出るように言い残して去っていく。

会合の場には大陽門のボスも来ているが、七嵌武館の館長はやってこなかった。顔をつぶされた岡村は怒り心頭だ。

 

 レイは回復したアロンを武術の訓練に誘うがアロンはそれを断る。

ホイの誕生日の宴会をしているときに、招待されていない大和門の一行が乗り込んでくる。そして散々ホイを挑発し、思わず挑発の乗ってしまったホイは心臓マヒを起こして死んでしまう。ホイは80歳だった。

ホイなき道場を継いだのはレイだった。道場名を精武館と改めて門下生を募り、練習に励む。

門の外にはその様子を見ているアロンの姿があった。レイはアロンに入門を進めるが、アロンは「修行するのは嫌いだ」といって断る。レイは立ち去るアロンの後ろ姿を見ながら「変わった人ね」とつぶやく。

 

 精武館に大陽門のボスが乗り込んでくる。

 

大陽門のボス

 

 勝手に道場を開くな、大陽門に従え、と勝手な注文を付けてくる。ハン師範をはじめとする門下生たちが怒り、大陽門の連中を蹴散らし叩きのめして追い出すと、大陽門のボスは大和門の岡村に泣きつき「このままでは縄張りを取られてしまう。大和門のことも馬鹿にしている」とうまいことをいって味方につける。

 翌日、大和門の岡村、千代子ら門下生たちが精武館に乗り込み暴れる。「ここは大和館のなわばりだ。勝手なことをするな」と岡村は言い放ち、千代子は精武館の表看板を蹴り割って精武館に屈辱を与える。

 

千代子

 

 割った看板を街中の大衆の面前に投げ捨て「我々大和館の言うことを聞かなければこのようになる! 逆らう者は半殺しだ」と岡本は雄叫ぶのだった。

その様子を見て怒るアロンだがそばにいるソンポクに「かかわるな」と止められる。それでもアロンの目は怒りに燃えている。

 その後アロンは、精武館へ同志とともに入門して武芸の鍛錬に励みだす。その姿にレイは兄弟子のチェン・チンと同じ気骨を感じるのだった。

 アロンは精進しその腕前を驚くほど上げていく。

 

 反政府活動家がホイ家に匿われているとの告発が日本の軍部に入る。それを聞きつけたのは女郎だった。その女は実はアロンの母親なのだ。アロンはそのことを知らない。捨て子としてソンポクが面倒を見て育ててきたのだった。

 ホイ家の反政府活動家たちはソンポクの先導のもとホイ家から忍び出て日本軍に捕まることはなかった。しかし、日本軍はレイとハン師範を連行する。

 だが、警察署長の計らいで釈放される。裏で手をまわしていたのは大和門の岡本だった。日本人同士、手を組んでいる。何かたくらみがあるのだ。

 

 精武館に日帝の軍人が来る。そして書面を置いていく。そこには「鹿港の武術界について大和門にて会合がある」と書かれていた。

集会に参加すると、「総督府の命令で流派を統一することになった。統一するのは大和門だ」と岡村は大威張りで宣言する。「反対する者はこの場で我々と戦うのだ」といきなりの要求である。

大陽会は岡村にこびへつらうが、精武館はもちろん反対し、以前大陽門に乗り込まれた七嵌武館も対峙する。七嵌武館の館長イップは二人を相手に戦うがやられてしまう。

 我慢できずに精武館のひとりが戦いに挑むも二人がかりでやられてしまう。しかし飛び出していったハン師範が2人を叩きのめす。焦る岡村。すると娘の千代子がハン師範に襲い掛かる。戦いの末、岡村が卑怯な助太刀をしたこともあり、ハン師範は口から血を流し戦闘不能となる。

 

アロン

 

 そこに飛び出て行ったのは、アロンだった。一進一退の攻防の末、千代子の弱点を突いたアロンが競り勝つ。その状況を見ていた岡村は怒り飛び出していく。戦いの中で、岡村は汚い手を繰り出していく。それでも最後にはアロンが打ち勝つ。しかし、大陽会が日本軍を呼んできて、アロンたちを倒そうとする。日本軍に立ち向かっていくアロン。軍は銃器を持っている。アロンは銃で撃たれてハチの巣となり、胸や肩から血を噴き出させて死んでいく…。

 

 

 

 

 

 ジャッキー・チェンのアクションは体を張ったものだが、何処か滑稽な所作がぬぐえない。見世物的なアクションが緊張感を削っていく。これが私をしてジャッキー・チェンに興味を持たらしめない理由なのだろう。

 

 それにしてもノラ・ミャオはかわいらしくてめんこい。小学生の頃、こんな髪形をしたクラスメイトがいたことを思いだした。