監督 古川卓巳

登川(宍戸錠)

白井(小高雄二)

岡田(井上昭文)

寺本(草薙幸二郎)

滝沢(川地民夫)

圭子(香月美奈子)

梨枝(松原智恵子)

松本(二本柳寛)

1964年/日本

 

大藪晴彦原作。

日本ダービーの売上金1億2千万を狙う男たち。

男たちの野望は何処へ向かうのか。

悪いことをすれば罰が当たるという見本のような映画。

悪に手を貸す者のもとにも災禍は余すことなく訪れるのだ。

日本的な道徳観、因果応報の理を表す映画なのだ(?)。

 

お勧め度

★★★☆☆

 

 

 

登川

 

 刑務所から出て来たばかりの男、登川。彼を仮釈放させたのは伊藤という男だった。伊藤は暗黒組織の人間だ。登川の妹・梨枝は3年前にトラックにひかれ大けがをした。登川は復讐のためにその相手を轢き殺し服役していたのだ。

 伊藤が登川に持ち掛けた仕事というのが日本ダービーのときの売上金1億2千万円を強奪する仕事だった。伊藤は組織のボス松本に電話をし「登川が餌に食いついた」と報告する。

 

登川

 

登川      伊藤

 

伊藤

 

 一緒に仕事をする仲間は白井、岡田、寺本の3名。白井は昔からの知り合い、岡田は元ボクサーでかなり頭をやられているが荒っぽいことには役立つ男、寺本はボスの松本(の用心棒をしていた男で、今では博打の借金に追いかけられている。シャブをやっていて、ある中気味でもある。そして金のためなら何でもやる。以前、岡田と組んでいかさま試合を仕込んだこともある。

 

 

 

 癖のある仲間たちと現金輸送車を襲うことになる。登川は、白井以外は信用していない。ヤマの分け前は一人1500万円と決まる。6千万円は組織に渡る。

 

寺本

 

 岡田

 

やり方は、輸送車は通常、競馬場から国道を通って街中の銀行に移動する。事故が発生したとして国道を遮断して、雑木林の道へ誘い込む。そしてバイクの警官や輸送車の中の警官と運転手を殺し、大型のトラックに死体と輸送車を丸ごと積み込む。一目につかないところで輸送車と死体を粗末する、という単純なものだ。

 

 

登川は金が入ったら妹の足の手術をしようと考えている。しかし医者は手術をしても歩けるようにはならないという。

 

梨枝

 

登川      梨枝

 

 登川は弟分の滝沢からライフルを手に入れる。金を送って準備してもらっていたものだ。滝沢は北京で登川の世話になったことがあるようだ。滝沢は登川を心配し、思いとどめようとするが登川の気持ちは変わらない。すると今度は、「一緒に仕事をしたい」と申し出る。登川の命の危機を感じているのだ。しかし登川はそれを断り去っていく。

 

登川   滝沢

 

 実行の日、最初はうまくいっていた。ところが計画が狂う。輸送車の中にいた運転手と警官が抵抗し殺すことができない。仕方なく二人を乗せたまま、輸送車をトラックの荷台に積み込む。登川の先導で、人気のない打ち捨てられたエリアへ向かう。そこの大きな倉庫にトラックごと隠す。

 

 油断した白井が警官に撃たれてけがをする。警官は撃ち殺し、現金を確認していると女がやってくる。その女は、時折寺本と組んで仕事をしている女・圭子だった。圭子は伊藤にやとわれて登川たちを最初から監視していたのだ。登川と圭子は旧知の仲である。圭子は何となく登川の味方をしている風に見える。

 

圭子

 

 登川は圭子の運転する車で伊藤に会いに行く。その間、現金の監視は白井が担当する。岡田と寺本の拳銃は登川が回収しており、白井だけが拳銃を持っている。登川は岡田と寺本を警戒しているのだ。

 

岡田    白井    寺本

 

 伊藤は「金を動かすのは明日にする。今夜はホテルを取ってある。そこに泊れ」と登川に命令する。

登川がホテルに着くと、待っていた伊藤の手下が登川を撃とうとする。とっさの判断で危機を切り抜けた登川は裏切られたことを知り、現金を置いてある倉庫へ戻る。

 倉庫では、白井を油断させ殴り倒した岡田と寺本が、現金を持ち逃げしようとしているところだった。登川は容赦なく二人を撃ち殺し、傷ついた白井を連れて現金を持ち逃走しようとするが、伊藤ら一行が追ってくる。ボスもいる。

激しい銃撃戦の末、白井は死に、戸川は滝沢の助けを得て何とか逃げ切る。しかし金はすべて石井側に渡ってしまった。

 

 滝沢のねぐらで登川は苦悩する。友人を失い、金も入らず石井たちにいいようにされた登川は絶望と怒りで燃えている。滝沢は「逃げてほしい」というが登川はいうことを聞かない。

 

 登川にボスの松本とは別の組が接近してくる。松本に恨みを持っている集団だ。松本に縄張りを奪われくすぶっていたのだ。この機に登川を仲間にし上手く利用して1億2千万を手にしようと企んでいる。

登川たちは松本の息子の晴彦を誘拐する。晴彦はボディガードの下で大きな態度でやくざぶっているが一人では何もできない臆病者だ。

 

松本に電話をする登川

 

 晴彦と1億2千万を交換することになる。父親の松本は現金を渡すつもりだが、伊藤は現金を渡す気はさらさらなく、この機会に晴彦を殺し、松本も処分し組を乗っ取ろうと考えている。登川は伊藤の裏をかき、松本のアジトに乗り込み、松本を殺し金を強奪する。

 登川は滝沢に連絡を取り、滝沢の店兼ねぐらに向かう。しかし先回りした伊藤が滝沢を撃ち倒し、登川を待ち伏せる。

登川は待ち伏せに気が付き伊藤を撃ち殺すが、滝沢は登川をみて、朦朧とした意識の中で伊藤と勘違いをして撃ってしまう。間違いに気が付いた滝沢は、登川に謝りながら死んでいき、瀕死の重傷を負った登川が金をもって立ち去ろうとしたとき、一斗缶を倒してしまい灯油が流れ出る。それに火が付き、あっという間に建物に火がまわる。炎は札束を焼き、野望も怒りをも焼き尽くす。登川も炎に囲まれて死んでいくのだった。