監督 スチュアート・ハイスラー

ポール・マドヴィグ(ブライアン・ドンレヴィ)

ジャネット・ヘンリー(ヴェロニカ・レイク)

エド・ボーモント(アラン・ラッド)

オパール・マドヴィグ(ボニータ・グランヴィル)

テイラー・ヘンリー(リチャード・デニング)

ニック・ヴァルナ(ジョセフ・カレイア)

ジェフ(ウィリアム・ベンディックス)

ファー地方検事(ドナルド・マクブライド)

ラルフ・ヘンリー(モロニ・オルセン)

1942年/アメリカ

 

 

原作はダシール・ハメットの同名の小説。

長編三部作の最後の作品で、

ハメット自身が一番気に入っていたものという。

ファム・ファタール役を演じた

ヴェロニカ・レイクは以下の作品にも出ている。

サリヴァンの旅 Sullivan's Travels(1941)

奥様は魔女 I Married A Witch(1942)

拳銃貸します This Gun for Hire(1942)

初恋時代 Miss Susie Slagle's(1945)

青い戦慄 The Blue Dahlia(1946)

復讐の二連銃 Ramrod (1947)

シャープな美人。1973年、

アル中が原因で50歳でなくなった。

アラン・ラッドは

フィルム・ノワールが良く似合う俳優だったと思う。

『拳銃貸します』『青い戦慄』でも

ヴェロニカ・レイクと共演している。

アラン・ラッドも50歳でアルコールと薬物が原因で亡くなっている。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

 ポール・マドヴィグは街を仕切る顔役だ。選挙本部に出向き改革派ラルフ・ヘンリーの悪口をいい始めた。

「ラルフ・ヘンリーは息子の改革もできない。息子は街のチンピラだ」

 ラルフの娘のジャネットがたまたまそこにいた。ジャネットは父と兄をけなすマドヴィグにビンタを食らわす。

「失礼ね! あなたこそ、自分の改革をしなさい」

 マドヴィグは怒るどころかジャネットの気の強さと美しさに惚れてしまう。そして、選挙のときにはラルフ・ヘンリーを応援することに決める。

 

マドヴィグ

 

ジャネット

 

 マドヴィグは汚れ仕事をしてのし上がってきた男で、清濁併せ飲むたたき上げの実力者だ。決して上品でも正義感でもない。一方、ラルフは生真面目な政治家だ。その娘も父親の気質を受け継ぎ曲がったことが大嫌いだ。

ジャネットに惚れこむヴィドッグを腹心のエド・ボーモントは心配する。

 

エド

 

 街のやくざ者ニック・ヴァルナが用心棒のジェフがマドヴィグの事務所に乗り込んでくる。

 ニックの店に、警察ががさ入れに入った、というのだ。裏で手をまわしたのがマドヴィグと思っている。エドが中に立って仲裁するがマドヴィグはニックを挑発し、ニックは怒って帰っていく。

 

ニック    ジェフ

 

 ヘンリー家の夕食に招待されるマドヴィグ。ジャネットも同席し上機嫌のマドヴィグだった。知事候補のラルフ・ヘンリーは、知事選のために利用することにする。エドは、それを察知してマドヴィグに忠告するが、マドヴィグはジャネットに熱を上げて、結婚する気になっていて聞く耳を持たない。

 

エド

 

 ジャネットの兄のテイラーは遊び人のチンピラで妹や父親の心配の種になっている。しかもテイラーはマドヴィグの妹のオパールと付き合っている。もちろんマドヴィグはそれを良く思っていない。

 

テイラー

 

ラルフ    テイラー

 

 テイラーはニックに借金がある。返済に困っている。オパールに金の工面をさせたりもする。

 

オパール

 

 ある晩、マドヴィグはオパールが、止めたにもかかわらずいまだにニックと付き合っていることを知って怒る。

オパールはエドに電話し「兄がテイラーを殺してやるといって出ていった」と電話する。エドはオパールをなだめ、マドヴィグを探しに表に出る。

 マンションの敷地から出ると舗道に男が転がっている。確かめてみるとテイラーだった。テイラーは死んでいた。

 

テイラー

 

 その後エドは、マドヴィグを訪ねる。そして、エドはマドヴィグにテイラーが死んだことを伝えるが、マドヴィグは動揺しない。それがどうしたというのだ、と答える。

 

 テイラーの葬式のあと、ニックはマドヴィグがやったらしい証拠があるとジャネットとラルフに告げる。

 

ジャネット   ラルフ     ニック

 

 エドは地方検事ファーの事務所へ赴きテイラー殺しの捜査について聞く。エドは検事にも顔が効くのだ。検事はエドに押され気味だ。ファーは「捜査はしている」といいつつ、届いた匿名の手紙を見せる。そこには「テイラーを殺したのはマドヴィグだ。親友が死体を発見している」と書かれている。検事は「信じているわけじゃない」などといってエドの機嫌を損ねないように媚びる。

 

 マドヴィグがテイラー殺しの容疑で検事に尋問されるという号外が出る。エドはマドヴィグの対応に不満を持ち対立する。

エドのアパートにジャネットが訪ねてくる。

 

ジャネット

 

 ヘンリーを殺したのはマドヴィグなのかとエドに聞く。エドは違うと答える。ジャネットは犯人探しに協力してほしいという。そして、判事が持っていた手紙と同じものをエドに見せる。ジャネットはエドに気がある。エドもジャネットが気にかかる。ジャネットはエドをうまく利用して、犯人を捜し、さらには父親を知事にしようともくろんでいる。

 

 マドヴィグと仲たがいしたエドはニックの事務所へ行く。ニックに寝返る真似をする。エドの真意は、テイラーを殺したのはニックではないか、と考えていてそれを確認したいのだ。

エドが不遜な態度に出て、ニックを怒らせて捕らえられる。そして拷問を受ける。隙をついてマットに火をつけ、逃げ出す。しかし、かなりの怪我で病院へ収容される。

 

 回復したエドは、テイラー殺しの犯人を再び捜し始める。

 エドが盛んに動いていく中で、新聞社(マドヴィグがテイラー殺しの犯人である、と書こうとしていた)の社長が死に、ニックは自分の用心棒のジェフに殺される。

 マドヴィグはエドに、テイラーを殺したのは自分だ、などと告白したりするが、エドは信じない。

 エドはテイラー殺しの犯人はジャネットだろうと見込み、判事に逮捕状を取らせ、ヘンリー家に行く。

 

エド       ジャネット

 

 ジャネットが逮捕されそうになった時、父親のラルフは思わぬことを告白し始める。そこにはマドヴィグも絡んでいるのだった…。

 

ラルフ     エド

 

 

 人間関係が入り組んでいて最初はなかなか理解できないが、とおしてみると全体像が見えてくるし、最後は、まあ、ハッピーエンドといえるのだろう。