監督 アキ・カウリスマキ
コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)
ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)
リンドストロン(イルッカ・コイヴラ)
アイラ(マリア・ヘイスカネン)
刑事(ペルッティ・スヴェホルム)
犬(パユ)
2006年/フィンランド、フランス、ドイツ
お勧め度
★★★★☆
夜警の仕事をしているコイスティネンは勤続3年。仲間内で浮いていて、上司の評判も良くない。だが、仕事はコツコツとするタイプだ。
コンスティネン
上司 冷たい目をコンスティネンに向ける
仕事の帰りによくいくキッチンカーだ。女が一人でやっている。女の名前はアイラ。二人は顔見知りで、コイスティネンはアイラに、事業をするなどと当てもないのに、大口をたたくが、アイラはコンスティネンの話に付き合う。ぶっきらぼうな態度のコンスティネン。アイラは、口数は少ないが優しい。心配しながらも暖かな目で見守っている感じだ。
コンスティネン アイラ
アイラのキッチンカー
あるときコーヒショップにいると女(ミルヤ)に声を掛けられる。美人でどこかあけすけな感じの女だ。コンスティネンはミルヤに惹かれる。ミルヤの誘いに乗って映画に行く約束をする。デートの日、きちんとした身なりをして、髪をくしで梳かし出かける。
映画のあと、高級レストランへ行く。ミルヤはいう。
「贅沢じゃない。私のために」
「金ならある。警備員で終わるつもりはない」
そのあとディスコへ行く。舞台ではロックバンドが演奏している。観客たちは体をゆすったり踊ったりしている。二人は踊りもせずつっ立って見ている。コンスティネンはうまくミルヤをリードできない。うぶなのだ。女の扱いを知らない。すると長髪の男がミルヤに声をかけて、ミルヤはコンスティネンにことわって一緒に踊りだす。コンスティネンは黙ってそれを見ている。うまくミルヤをリードすることができない自分にいら立つ。
声をかけてきた男 ミルヤ コンスティネン
コンスティネンは、銀行へいき事業立ち上げの融資を申請するがけんもほろろに断られる。
コンスティネン 銀行家
そののち、いつも通り夜警の仕事に行ったところミルヤが現れる。
「一緒に連れて行って」
「連れていくと馘になる」
「私を捕まえたといえばいいじゃない」
ミルヤ コンスティネン
ミルヤはコンスティネンについていき、暗証番号を暗記する。ミルヤは悪い組織に属している。組織のボス(リンドストロン)に暗証番号を伝える。リンドストロンは、暗証番号を手に入れて盗みに入る算段だったのだ。そのために女をコンスティネンに接近させたのだった。
リンドストロン
そうとは知らず、コンスティネンはミルヤを家に招き食事を一緒にする。コンスティネンがミルヤの肩に腕をまわす。するとミルヤは唐突にいう。
「母が病気で実家へ帰る」そういってミルヤは立ち去る。放心したようなコンスティネンの表情。
そして酒をあおる。
ミルヤ コンスティネン
コンスティネンが仕事をしていると、女が現れる。コンスティネンをレストランに誘い、隙を見て飲み物に睡眠薬を入れる。そして車へ誘う。薬が効いて寝てしまったコンスタティンの腰にぶら下げた鍵の束を盗む。その鍵はコンスティネンが仕事で使っているもので、巡回用の鍵だった。
宝石店に賊が入る。コンスティネンの巡回範囲の店だ。コンスティネンが持っていた鍵が使用されたことがわかりコンスティネンは警察で尋問を受ける。しかし、コンスティネンはミルヤをかばい、しらを切る。留置所に入れられるが、結局、証拠不十分で釈放される。警備会社は解雇される。
ミルヤはボスのリンドストロンにいわれ、コンスティネンの住居へ行く。そしてコンスティネンから奪った鍵と盗んだ宝石の一部を袋に入れてソファーのクッションの下に隠す。コンスティネンはそれに気が付くが、何もいわない。
コンスティネンは通報され逮捕され、裁判で2年の服役となる。裁判でもコンスティネンはミルヤについては何もいわなかったのだ。
判決を受けるコンスティネン 後ろにアイラが傍聴している
服役中、アイラはコンスティネンに手紙を出すが、コンスティネンはそれを読もうともしない。出所後、簡易宿泊施設に入り、レストランで皿洗いの職を得る。
ある晩、偶然にコンスティネンはアイラに再会する。アイラは喜ぶがコンスティネンはぶっきらぼうだ。
アイラ コンスティネン
あるときアイラはコンスティネンの宿泊する施設に会いにいく。アイラはコンスティネンがまだ希望を捨てていないことを知り安堵する。
「時間がったら会いに来て」そういって立ち去る。
アイラ コンスティネン
コンスティネンがレストンで働いていると、リンドストロンとミルヤが食事をしているところに出くわす。しばらく視線を合わせるが黙って立ち去る。そのあと、支配人に「窃盗の前科があることを黙っていた」という理由で解雇される。リンドストロンが告げ口をしたのだ。
コンスティネンはレストランの前で待ち伏せリンドストロンを刺そうとするが、逆に取り巻きに捕らえられて重傷を負わされる。街はずれの工事現場で倒れているところを知らせを受けたアイラが駆け付ける。
「死なないで」
「ここでは死なない」そういって、コンスタンティンはアイラの手を握りしめる。
コンスティネン アイラ
真面目なのだが不器用でうまく世を渡っていけない男(コンスティネン)。漠然とした野心を抱いているが具体的な計画はない。そんな男を温かく見守る女(アイラ)がいる。それに気が付かずに、男は質の悪い女に引っ掛かり人生を踏み外す。それでも温かい目をした女は男を見捨てない。
最後、男は優しい目をした女の気持ちに気が付く、ように見える。もしかしたら、男は優しい目をした女の気持ちをはじめからわかっていて、自身も惹かれるものを持っていたのかもしれない。男の見栄が素直な行動を抑制していたのかもしれない。立ち直りそうな気配を漂わせて、映画は終わる。