監督 ギャヴィン・フッド

キャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)

スティーヴ・ワッツ中尉(アーロン・ポール)

フランク・ベンソン中将(アラン・リックマン)

ジャマ・ファラ(現地工作員)(バーカッド・アブディ)

2015年/イギリス

 

 戦場から遠く離れた基地から、ドローンや偵察機を使って指揮命令し攻撃を加える軍人は安全な戦いを展開している。しかし、その内面は、身の安全が保障されているがゆえに、決断と葛藤の間を揺れ動き苦悩に満ちている。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

 アメリカ軍とイギリス軍が合同でケニアのテロ組織の監視をしている。

イギリスのキャサリン・パウエル大佐は上官のフランク・ベンソン中将の指揮下でアメリカ軍のMQ-9 リーパー偵察攻撃機を使い、ケニア軍の要員の協力のもと、テロリスト捕獲作戦を指揮していた。

 

 

MQ-9 リーパー偵察攻撃機(無人)

 

 ナイロビにテロ組織の隠れ家を発見する。まさにテロの準備をしている最中であった。

 隠れ家の隣には、一般人の家屋があり、そこの少女アリアは家の仕事を手伝い、路上でパンを売っている。パン売り場はテロ組織の隠れ家のすぐわきにあった。

 

アリア

 

 その家の父親は開明的な考えの持ち主で、少女にも教育を施している。保守的な風土のため勉強していることを隠している。女に教育は必要ないという考えが一般的なのだ。

 

 英米そしてケニアの合同軍は、パウエル大佐からの指令を受け、MQ-9 リーパーからのミサイルの射準備に入る。

 

パウエル大佐

 

アリア

 

 しかし、発射準備に入ったその時、目標の隠れ家のわきの路上で、アリアがパンを売る準備を始める。このままミサイルを撃てばアリアが巻き込まれて死ぬ確率が高い。アリアを家に戻さねばならない。

 現地の工作員を使って、アリアの売っているパンをすべて買うことにする。しかし、テロ組織の一員に見つかりうまくいかない。早くしないと、テロが実行されてしまう。隠れ家にテロ実行犯がいるうちに攻撃をしなければならない。

 

 

 パウエル大佐は、少女を犠牲にしてでもテロリストを殺害することを主張する。しかし、他の軍人や政治家たちの間で議論が勃発する。政治家たちは自己に責任がかからないようにふるまう。軍人たちはテロが実行されれば多くの市民が死ぬことを懸念する。

 アリアの死亡率は65%ある。それを50%以下に下げたうえで攻撃することになる。しかし分析官はこれ以上下がらないという。パウエル大佐は、照準を少しずらしてはどうかといい、45%にするように指示する。そして、「あなたに責任はない」と諭すようにいう。分析官は、パーセンテージを下げる。

 爆撃が実行される。テロは阻止され、目をつけていた組織の幹部も爆死した。しかし、アリアは負傷し、運ばれた病院で死んでしまう。

 

アリア

 

作戦が終了したのち、軍人たちは苦渋の表情を浮かべる。

 

 

 アリアはテロ防止の代償となり死んでしまった。

 アメリカの女性政務次官は、ベンソン中尉にいう。

「言わせてもらえば、恥ずべき作戦ね、あなたは安全な場所からやったのよ」それに対してベンソン中将は答える。

「私はテロ直後の現場処理を5回経験した。地面に遺体が散乱していた。今日このテーブルに載っていたコーヒーとビスケットは恐ろしい。だが彼らがやろうとしていたことはもっと恐ろしい。今後、決して軍人にいってはならない、戦争の代償を知らないなどと」