監督・脚本 アキ・カウリスマキ

アンリ・ブーランジェ(ジャン=ピエール・レオ)

マーガレット(マージ・クラーク)

殺し屋(ケネス・コリー)

1990年/フィンランド、スウェーデン

 

お勧め度

★★★★☆

 

アキ・カウリスマキは1957年生れの

フィンランドの監督で、

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年)』

で世界的に有名になった。

カウリスマキは、ジャン=ピエール・レオのファンらしい。

カメオ出演で少し一緒に写っている。

サングラス売りの不愛想な役だ。

うれしかったことだろうと思う。

 

  

(カウリスマキ)  (ジャン=ピエール・レオ)

 

<あらすじ>

何をやってもうまくいかない男。

職場の休憩室で、一人ポツンと昼食をとっている。

周りの皆は楽しそうに談笑しながら食べているのに。

男はフランス人だ。今はロンドンで働いている。

フランスを出た理由は、皆に嫌われたから。

ロンドンに来ても皆となじめない。

解雇を言い渡されても、無表情に近い。

 

アンリ

 

そして、それを当然のごとく受け入れる。

しかし、ある女と出会い、少しずつ人間らしさを

取り戻していく。

しかし、死が徐々に追いかけてくる。

 

 

(内容)

ロンドンの水道局が民間で運営されることになり、

アンリは解雇される。

まじめな独身者のアンリは

首吊りをして死のうとするが、失敗する。

 

アンリ

 

続けて台所のガス台でガス自殺をしようとするが、

ガス会社のストの影響で

ガスが止まりこれも失敗する。

 

翌日、カフェで新聞をながめているときに

「コントラクト・キラー」の記事を目にする。

 

その後、苦労人風の老いたタクシー運転手の車に乗り、

殺し屋の情報を得て近くまで載せていってもらう。

運転手はタクシー代と情報代をアンリに請求する。

 

ホノルル・バーという飲み屋へ入ると、

中はやくざれた男たちが酒を飲んでいる。

端正な服装をしたアンリを見て

その場違い装いに男たちは沈黙する。

「いったい何者がやっていたのだ?」

「なんだ、あいつは?」

というような顔をしてみている。

カウンターへ歩み寄り、アンリは

「ジンジャー・エール!」

と大きな声で注文する。

店の中の男たちはアンリにさらに注目する。

店内の雰囲気に気が付き、アンリは強がって

「僕の国ではこんな店は朝食用だ!」

などと叫ぶ。アンリはフランス人なのだ。

(かなり、変わった男だ)

 

(中央)アンリ

 

別室へ連れていかれ

「簡単な殺しの料金は1000ポンド」

と殺し屋の元締めが説明する。

 

元締め

 

「殺しの相手は?」

と聞かれ、アンリは自分の写真を渡す。

裏に住所も書いてある。

「自分でやれば金はかからないぞ」

元締めは不可解な顔をする。

 

交渉は成立し、

バーで殺し屋が二人してアンリに酒をおごる。

ヘンリは、酒は飲まないというが、

どうせ死ぬんだろ、といわれ

付き合うことにする。

 

(中央)アンリ

 

その二人の殺し屋は、今回は担当しない。

もう友だちになったからだという。

「なんで死ぬんだ?」殺し屋の一人がきく。

「個人的な理由だ」

「人生は美しいぞ。神にたまわったものだ。

美しい花を見ろよ。動物に鳥たち!」

もう一人の殺し屋が、

「この美しいグラスが、死を望んでいると思うか?」

といってビールの入ったグラスを掲げる。

「仕事を首になったんだ」

アンリがそういうと、

「新しい仕事を探せばいいじゃないか」

一人がいうと、もう一人の殺し屋が

「俺たちだって働いていないがこの通り幸せだ」

という。

「楽しむんだよ」

「僕は疲れた。眠りたいんだ」

 

夜、アンリは家で殺し屋がやってくるのを待っている。

落ち着かない。

部屋の窓からは飲み屋が見える。

アンリはそこへ行くことにすする。

丁寧にもドアに「向かいのパブにいる」と

殺し屋に書き置きをする。

 

紅茶を注文するがないといわれ

ウィスキーダブルと

吸ったことの無い煙草も注文する。

そして、ウィスキーを一気に飲み干す。

生真面目な顔をして。

 

何杯も酒を飲み、

少し虚ろな表情になっているアンリ。

そこに花売りの女が入ってくる。

その女性を見た途端、アンリは立ち上がり、

名前を聞き、隣に座れと命令する。

 

アンリ        マーガレット

 

今までにない確信に満ちた物言いだった。

アンリは女(マーガレット)に惚れてしまったのだ。

 

家に戻ると、ドアに貼った書置きがなくなっている。

殺し屋が訪ねてきたのだ。

怖くなったアンリは逃げ出す。

ホテルに泊まろうにも持ち合わせがない。

 

アンリは、明け方まで彷徨った後

マーガレットに教えてもらった住所を訪ねる。

マーガレットはアンリを受け入れる。

 

マーガレット      アンリ

 

マーガレットと出会ったアンリは

もう死にたいとは思わなくなっている。

マーガレットはアンリに

「殺しをキャンすればいい」

という。

アンリはその言葉に従おうとする。

「素晴らしい考えだ!」

 

アンリはホノルル・バーへ行く。

するとそこは廃墟と化している。

これではキャンセルのしようがない。

 

マーガレットはアンリのアパートへ

荷物を取りへに行く。

殺し屋はアパートの前で見張っている。

マーガレットを見つけ、あとをつける。

マーガレットは、

殺し屋は自分の顔を知らないと思っているが

殺し屋は、パブでアンリと話をする

マーガレットを見て顔を知っている。

 

殺し屋

 

日を変えて、

殺し屋はマーガレットのアパートへ赴く。

アンリを殺しに行ったのだが

アンリは不在。

マーガレットは殺し屋の隙をつき

アンリトルれて逃亡する。

 

殺し屋は体に問題を抱えてている。

咳き込むと血が出るのだ。

胸を病んでいる。

なじみの医者に行く。

あまりまともな医者ではない。

あと1,2カ月の命、といわれる。

それでも殺し屋は取り乱したりしない。

殺し屋は医師のデスクから酒瓶を取り出し、

二人でウィスキーを飲む。

診察室に酒が置いてあるのだ。

やはりまともな医師ではない。

殺し屋は、請け負った仕事があるのだ、とつぶやく

 

あるときアンリは宝石店強盗の実行犯に間違われ

新聞に写真が出てしまい、

マーガレットのもとに戻れなくなり姿をくらます。

 

アンリ

 

殺し屋は徐々にアンリを追い詰めて行く。

マーガレットもアンリの行方を追う。

 

墓場でアンリは殺し屋と対峙する。

殺し屋のとった行動とは?

 

殺し屋

 

 

 

 

 

 

 

素朴で素直なカメラワーク。

色彩の使い方に工夫を感じる。