監督 サム・ペキンパー

タナー(ルトガー・ハウアー)

ファセット(ジョン・ハート)

トレメイン(デニス・ホッパー)

ダンフォース(バート・ランカスター)

オスターマン(クレイグ・T・ネルソン)

アリ(メグ・フォスター)

カードン(クリス・サランドン)

ヴァージニア(ヘレン・シェイヴァー)

ベティ(キャシー・イエーツ)

ステニングス(サンディ・マクピーク)

1983年/アメリカ

 

『ワイルド・バンチ』『ゲッタウェイ』

『戦争のはらわた』『コンボイ』のペキンパーの遺作。

この映画を撮った翌年1984年59歳で亡くなっている。

少し早すぎる。

 

ペキンパー

 

お勧め度

★★★☆☆

ルトガー・ハウアー、ジョン・ハート、

デニス・ホッパー、バート・ランカスター

クレイグ・T・ネルソン、メグ・フォスターと

出演者が豪華。

 

スローモーションや反復を駆使した

バイオレンスシーンがペキンパーらしい作りになっている。

が、どこか拡散した締まりのないラストとなっていて、

もやもやする。

 

 

トレメイン(医師)、オスターマン(TVプロデューサー)、

カードン(株の相場師)は

KGBのミカロビッチとつながっている。

CIAのファセットはそれを暴くために

TVキャスターのタナーを利用しようとする。

 

ファセット

 

トレメイン    オスターマン

 

カードン

 

CIA長官ダンフォースの側近ステニングスは、

「ファセットのやり方にはリスクがある」

という。

しかし、ダンフォースはその助言を聞かずに

ファセットのやり方で事を進めることにする。

 

ダンフォース

 

タナーは、

トレメイン、オスターマン、カードンの共通の友人で、

舌鋒鋭いTVキャスターだ。

 

タナー

 

タナーはTV番組の中で、

政権に対して鋭い批判を展開している。

CIA長官にも批判的だ。

それだからこそ、側近のステニングスは

「タナーを使うのはリスクが高すぎる」

とファセットの計画に反対する。

しかし、CIA長官ダンフォースは、

リスクを腹に入れて、ファセットの案を採用した。

 

ダンフォースはファセットの依頼に従って

タナーに直接電話をし、会うことになる。

出向いたタナーは、3人の友人が

KGBとつながっている証拠となるビデオを

ファセットに見せられ、

ファセットに協力することになる。

あまり乗り気ではないタナーだが、

その見返りにダンフォースに

自分の番組に出ることを約束させる。

 

タナー   ダンフォース

 

3人はオメガという謎の組織から

メッセージを受け取る。

そのメッセージに3人は動揺する。

3人はKGBのスパイと落ちあう。

「何者かが自分たちのしていることを知っている」

協議した結果、3人はタナーを疑う。

 

タナーは、週末の2日間、

トレメイン、オスターマン、カードンを

家に招くことになっている。

以前から家族ぐるみの付き合いなのだ。

オスターマンは独り者で、

あとの二人は妻を連れて遊びに来る。

 

アン      タナー

 

タナーは、週末の2日間、

妻と子供を家から出すことにする。

巻き込みたくないのだ。

妻のアリは事情が分からないまま、

タナーの指示に従う。

 

タナーの家には事前に撮影機器が大量に持ち込まれ

家全体を監視できる盗撮・盗聴の機器が仕込まれる。

それをわき目に見ながら、

タナーは妻と息子を車で空港まで送る。

タナーがチケットを取りに車を離れたすきに、

妻と息子の乗った車が、男に乗っ取られる。

気が付いたタナーは、

行きずりの車に強引に乗り込み

追跡する。

 

 

無謀な運転で逃亡する車を、

タナーは必死の追跡をする。

広い空き地に2台の車が到達したころ

ヘリが飛んでくる。

ヘリは逃亡する車を銃撃し、出てきた男を射殺する。

へりに乗っていたのはファセットたちだった。

タナーの妻アリと息子は家に戻ることになる。

 

タナーは

「これ以上家族をだませない」

というがファセットは「練習しろ」という。

そして、自分の妻が殺されるところを映したビデオを

タナーに見せる。

「君は妻を取り戻すことができた。

私よりも優秀だ」

という。

結局タナーは、

妻と息子と一緒に友人たちを迎えることとなる。

 

アン    タナー    息子

 

翌日、タナーの友人たちが訪問してくる。

男3人は、タナーが自分たち裏でしていることを

知っていて、罠にはめるつもりだと疑っている。

妻たちはそんなことは知らない。

 

タナーと3人の友人はどことなく

ぎこちない再会をする。

友人のひとりオスターマンは、

タナーがいつもと様子が違うことを感じ取る。

二人だけのときに、

「真実とは、ばれない嘘のことだ。

一緒に生き残ろう」

という。

 

オスターマン

 

翌日、プールで水球をする男たち。

うまくいかないジョセフは腹立ちまぎれに

タナーの愛犬を蹴とばす。

それを機にタナーとジョセフとけんかを始める。

周りの者が中に入り、それを治める。

いつもの和気あいあいとした雰囲気がなくなっている。

 

夕食時には、ファセットが3人の反応を見るために

あるビデオをテレビで流す。

まるでニュース番組のように見える。

内容は、アメリカの一部の富豪たちは

スイスの銀行に口座を持ち、脱税をし

不正な富を蓄財しているというものだ。

3人の顔に緊張が走る。

医者のトレメインの妻ヴァージニアは怒りだし、

タナーをののしる。

 

ヴァージニア

 

それを見ていたタナーの妻アリは

ヴァージニアを「このヤク中顔のアバズレが!」、

と殴りつける。

ヴァージニアは、普段から麻薬を吸引し

タナーの家に来てもやっているのだった。

 

その晩、3人の寝室の様子を監視するファセットとタナー。

タナーはそれぞれの友人の思惑、本音を知る。

 

ベティ  カードン

 

その晩、タナーの息子が冷蔵庫を開けると、

愛犬の首が入っている。

パニックになり叫びだす息子。

大人たちが集まってくる。

しかし、よく観察すると、犬の首はぬいぐるみで

悪質な嫌がらせと分かる。

誰が仕掛けたのかわからないが、

タナーは、

「明日の朝早くにここを出て行ってくれ」

と皆に宣言する。

 

その後、タナーはファセットのもとへ行く。

後をつけていたオスターマンがそれを目撃する。

 

ファセット  タナー

 

オスターマンに見られたことを知ったファセットは

要員たちにオスターマンを殺すように命令する。

 

家ではトレメインとカードンがいきり立ち

アリのいる部屋へ行く。

アリが何か知っていると考えたのだ

アリは危険を察知して息子を連れて窓から逃れる。

 

アリと息子がいなくなっていることを知り

トレメインとカードンは妻を連れて

家を出ていく。

自分の車は車庫に入っており、

扉が閉まっていて出せないため、

タナーのキャンピングカーを盗み、走り出す。

 

 

一方、プールハウスではタナーとオスターマンが

格闘を始める。

一段落ついたときに、部屋のTVにファセットが

映し出され、タナーにメッセージを流し出す。

 

ベティ

 

夜の道を走る車の中では、

妻たちは何が起きているのか

いまだにわからずにいて

男2人は焦っている。

 

ファセットのメッセージに

タナーは騙されていたことを知る。

3人の友人はKGBのスパイなどではなかったのだ。

単に、脱税をしてるのだった。

 

一連の出来事はファセットの個人的な思惑、

復讐心によって

仕組まれた陰謀であった。

 

タナー

 

それを知ったタナーとオスターマンは

ファセットに立ち向かっていく。

 

オスターマン

 

 

最後のクレジットに

「ヘルムート・ダンティーネに捧げる」

とある。

ヘルムート・ダンティーネは

1918年生まれのオーストリア出身の俳優で、

1938年、母国で、

19歳のとき反ナチス運動で捕らえられ

強制収容所に送られた。

両親の助けで3か月後に釈放され、その後両親は

カリフォルニアに彼を送り出した。

UCLAに入り演劇に興味を持つようになって俳優になった。

『カサブランカ(1942年)』

『戦争と平和(1956年)』などに出演し、

ペキンパーの映画では『ガルシアの首(1974年)』

『キラー・エリート(1975年)』

に出演している。

若い頃は皮肉にもナチスの軍人役が多かったらしい。

 

カードンの妻役のキャシー・イエーツは

『コンボイ』にも出ていて

この映画で再会できてうれしかった。

可愛いタイプの女性だな。

 

(キャシー・イエーツ)

 

メグ・フォスターの水色の眼は、

何度見てもドキリとする。

不思議な色をした眼だ。

 

(メグ・フォスター)

 

ジョン・ハートの死に方の演技は非常にうまい。

『エイリアン』でも死んでいたが、

死に際の細かな痙攣が

迫真の演技だ。

 

(ジョン・ハート)

 

この映画のデニス・ホッパーはおとなしい役で

疲れているようだった。

(デニス・ホッパー)