監督 ヴァーツラフ・マルホウル

少年(ペトル・コトラール)

ハンス(ステラン・スカルスガルド)

司祭(ハーヴェイ・カイテル)

ガルボス(ジュリアン・サンズ)

ミートカ(バリー・ペッパー)

ミレル(ウド・キア)

2019年/チェコ、スロバキア、ウクライナ

 

少年の地獄紀行はやがて

終焉を迎える。

少年は、生きることを学んだのか?

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

<ミートカ>

村落をコサックが襲う。

無抵抗の村人を無慈悲に殺していく。

 

 

そのあとソ連軍が来て

コサックを蹴散らす。

その様子を遠くからみている少年。

村落が燃えている。

 

 

捕らえられたコサック兵は、

木から逆さに吊るされている。

 

少年はソ連軍に捕らえられ

戦争孤児として面倒を見てもらうことになる。

軍服をもらい少年兵のようになる。

 

ミートカ

 

世話してくれる軍人ミートカについていくと

その軍人は、ライフルで地元の村人を数人撃つ。

それは仲間が殺された復讐なのだった。

 

ミートカ

 

「目には目を、歯には歯を、だ。

覚えておけ」と少年にいう。

 

その後少年は、その男から拳銃をもらい、

車に乗せられて、キャンプ地から離れる。

 

<ニコデムとヨスカ>

少年は孤児院へ入れられる。

そこで名前や出身地を聞かれるが黙っている。

施設内では、友人もなく孤立している。

 

 

ある夜、院を脱走する。

連れ戻されせっかんを受ける。

夜間は外出禁止なのだろう。

昼間は外に出られるようだ。

線路に寝そべり

機関車が上を通り過ぎていく様を楽しむ。

 

あるとき、瓦礫の散乱するする闇市を歩く。

馬のおもちゃを手にして見ていると、男の店主が、

少年がユダヤであることを理由に頬を張る。

 

 

鼻血を出して倒れる少年。

誰も助けようとしない。

 

後日、少年は隠していた拳銃を持ち出し、

店主のあとをつける。

 

 

人気のない建物に入ったところで、

店主と向き合う。2発撃って殺す。

店主は何も言葉を発せなかった。

ロシア兵に教わった

「目には目を、歯には歯を」を実践したのだ。

 

あるとき、痩せた髭を生やした男が

施設に来て少年を引き取る。

男は感無量で涙ぐむ。

 

 

父親のようだ。少年は無反応だ。

相変わらず言葉を発しない。

問いかけにも反応しない。

黙って相手の目を見ているだけだ。

 

貧しい住まい。貧しい食事。

父親は少年が好きだったキャベツのスープを作る。

父親は、目をを伏せて少年にいう。

「ああするしかなかったんだ」

少年は反発し、テーブルの皿を払いのけ

表へ飛び出していく。

その背に向かって父屋は叫ぶ。

「お前は自分の名を忘れたのか?」

そしてむせび泣く。

 

少年は、父親に連れられて乗合自動車に乗り、

母のいる家に向かう。

隣で寝ている父親の腕に

数字が入れ墨されているのを見る。

自分を伯母に預けた父に反発していたが、

父も生死をくぐり抜けてきたことを知る。

少年は水蒸気で曇った窓になにか書く。

ヨスカ。少年の名前だ。

自動車は穏やかな田舎道を走っていく。

 

 

映画の最後に

「イェジー・コシンスキィの小説に捧ぐ」

と出てくる。

初めて聞く小説家だった。

調べてみると

ピーター・セラーズが主演した

『チャンス(being there)』の原作者でもあることを知った。

『異端の鳥』は1965年に刊行され、

センセーションを巻き起こしたらしい。