監督 ヴァーツラフ・マルホウル

少年(ペトル・コトラール)

ハンス(ステラン・スカルスガルド)

司祭(ハーヴェイ・カイテル)

ガルボス(ジュリアン・サンズ)

ミートカ(バリー・ペッパー)

ミレル(ウド・キア)

2019年/チェコ、スロバキア、ウクライナ

 

お勧め度

★★★★☆

 

少年の想像を絶する困難は続く

 

 

<レッフとルドミラ>

少年は鳥師の老人レッフの家にたどり着く。

多くの鳥かごの中で小鳥が飼われている。

鳥の商売しているのだ。

 

レッフ

 

 

老人は少年に野鳥のとり方を教える。

あるとき草原で老人と少年が鳥を取っていると

裸の女ルドミラが歩いてくる。

 

ルドミラ

 

老人はその女と草の上で交わる。

少年はそれを見て、ひとり草原に横たわる。

 

あるとき、鳥師は捉えた小鳥の羽に色を塗り、

仲間の群れのもとに飛び立たせる。

羽の色が違うので、群れの鳥たちは攻撃を加える。

彩色された鳥(painted bird)は、地上に落下し息絶える。

 

 

老人と交わった女ルドミラは売春婦だ。

息子をたぶらかしたと,

母親たちにリンチに遭う。

それを救おうとした老人も殴られ怪我を負う。

 

ルドミラ

 

老人は死体と化した女を

家に連れて帰り、横たえ弔う。

少年が薬を老人に塗ろうしてもそれを拒む。

 

その後、老人は首をつる。

死にきれず苦しんでいる老人を見て

少年は老人にぶら下がり、楽にしてやる。

そのあと少年は鳥たちを逃がす。

 

<ハンス>

少年が森を歩いていると

前足を折った馬を見つける。

 

 

水をやり、馬を連れて歩き出す。

小さな集落に行くと

男が出てくる。

足を折った馬は使い物にならないのだろう。

少年は抵抗するが、

怪我をした馬の首に縄をかけて、別の馬に曳かせ殺す。

 

そこに、馬に乗った集団が現れる。

軍服を着ている。

その夜、村にやってきた男たちは

宴会をする。

少年はそこでは働かされる。

男たちはソ連の軍人のようだ。

上官らしき男が、少年に無理やり酒を飲ませる。

 

翌朝、軍人たちは去っていくが「村はもらう」

と言い残す。

そして、村人に少年をドイツ軍まで

連れていくように言いつける。

少年はユダヤ人なのだ。

(だからこれまで虐げられてきたのだ!)

 

ドイツ軍の上官は、少年を殺すように部下にいう。

その部下ハンスは、

遠くまで少年を連れていき、逃がす。

ライフルを2発撃って殺したかに見せかける。

 

ハンス     少年

 

森に逃げた少年は、遠くに焼夷弾の明かりを見る。

 

ユダヤ人たちが貨物列車に乗せられて運ばれていく。

 

 

 

脱走する者もいるが、機関銃で撃ち殺される。

 

その様子を見ていた少年は、

ことが過ぎ去ってから、

死体が転がっているあたりを歩く。

 

トランクをあさるとパンが入っている。

それを食べながら、周りを見て歩く。

すると死に切れていない

同じ年くらいの少年がいる。

 

靴を脱がせ自分のものにする。

そして瀕死の少年の死を見つめる。

そのあと、ドイツ軍に捕らえられる。

 

<司祭とガルボス>

街中に連行される少年。

処刑される運命なのだ。

 

しかし、少年は気転を利かせ命拾いする。

街中に放り出された少年を司祭が救う。

 

司祭

 

教会に来ていた信者のひとりガルボスが

少年を引き取ることになる。

辛気臭い顔をした独り者だ。

 

ガルボス

 

少年はその家に行き、その晩に

犯される。

ガルボスは小児愛好家だったのだ。

ベッドで嗚咽する少年。

 

少年は森へ行き

トーチカを発見する。そこでナイフを拾う

そして、コンクリートの穴の中に

大量のネズミが蠢いているのを発見する。

 

司祭が訪ねてきて

教会に来るようにいう。

ガルボスは返事をしない。

司祭は労咳にかかっており、咳声が激しい。

死の予感がする。

司祭が帰った後、男は少年いう。

「何もしゃべるなよ、いったら殺す」

 

男は教会へ行くと、司祭から

聖書を読むようにいわれる。

司祭からの警告なのだ。

 

男は家に戻ると

少年をせっかんする。

 

 

そして少年が持っていたナイフを発見する。

 

別日、少年をトーチカに案内させる。

少年は、油断した男をネズミに穴に落とし込む。

悲鳴を上げながら男は死ぬ。

 

教会へ行った少年は

司祭から、お前のことは聞いている、といわれる。

司祭は男の所業を知っていたのかもしれない。

 

少しして神父は死ぬ。

儀式には少年も教会の一員として加わる。

しかし式の途中、失敗をしてしまい

怒った参拝者たちが

少年を教会の裏の肥溜めに放り込む。

 

 

<ラビーナ>

冬の山。雪が積もっている

少年は一人で時を過ごしている。

誰かの羊小屋の床下から、芋を盗み食う。

山小屋を見つけて、そこをねぐらにして暖を取る。

 

体力が付きそうになりながらも

場所を移すために歩いていると

湖のうえで氷が割れ落ちてしまう。

這い出すが、体力がさらに消耗する。

湖のほとりに一軒の家を見つける。

 

 

そこには病身の老人と

その世話をする若い女ラビーナがいた。

女はいう。

あんたは運がいい。

ここにいたければいてもいい。

 

ラビーナ

 

春になり老人が死に、穴を掘って埋める。

若い女は少年を性の愛具にしようとする。

しかし役に立たない。

女は池で漁をし、

山羊のミルクを絞って生活しているようだ。

畑もやっている。

 

女は少年を馬鹿にするようになり

山羊とする真似をして少年を挑発する。

 

夜、少年はその山羊を殺し、首を切断し、

女の寝ている部屋に放り込む。

女の悲鳴が聞こえる。

そして家を出る。

 

山道で老人を襲い、

その衣服と道具をはぎ取って、

少年は再び流浪の旅に出る。

 

(つづく)