監督 ヴァーツラフ・マルホウル

少年(ペトル・コトラール)

ハンス(ステラン・スカルスガルド)

司祭(ハーヴェイ・カイテル)

ガルボス(ジュリアン・サンズ)

ミートカ(バリー・ペッパー)

ミレル(ウド・キア)

2019年/チェコ、スロバキア、ウクライナ

 

あまりにも過酷な少年の行程。

何処へ行っても、苛烈な住処、

幸いなのか不幸なのか、流れていく。

暗黒童話を見ている感がする。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

<マルタ>

叔母マルタと二人で暮らす少年。

少年の名は分からない。

貧乏で素朴な生活。

大地にぽつんと立っている貧しい家屋。

鶏を飼い、井戸の水で生活している。

少年には友人はいなく

いつも一人。

 

 

あるとき、大事にしていたペットを

数人の少年たちに焼き捨てられる。

何か、忌まわしい存在として嫌われているのか?

 

 

ある朝、起きると叔母は椅子に座ったままでいる。

少年はまた眠り、

暗くなってから再度叔母の様子を見に行く。

まだ椅子に座っている。

ランプで顔を照らす。死んでいる。

驚いた少年はランプを落としてしまい、

火が燃え広がる。

家が燃え、

少年は居場所がなくなりそのまま放浪の旅に出る。

 

 

たどり着いた寒村で村人に捕らえられ

むしろの袋に入れられて鞭うたれる。

排他的な集落。何を恐れているのか。

そのあと、巫女のような

年かさのいった女に引き合わされる。

女は、この子は吸血鬼だ。

悪魔を呼ぶ、という。

その女は少年を買い、

縄で縛り犬のように連れていく

 

 

<オルガ>

女は祈祷師で少年を助手にして病人を訪ねる。

呪文を唱え、香を焚く。

少年は蛇を病人の女の腹に這わせたりして手伝う。

 

祈祷師の女は、病人のいるところをまわり

怪しげな呪術的治療を施す。

 

病がはやりだし、

大勢の死人が出る。

少年も体調を崩す。

祈祷師の女は、

穴を掘り、首だけ出すようにして

少年を埋める。治療なのだ。

少年を囲むように四か所で火をたく。

これで邪気を払い、

悪霊を追い出すのだ。

 

 

少年が意識を取りもどすと

周囲には数羽のカラスが群れている。

そして少年をつつき始める。

 

 

そこに祈祷師の女が来て

追い払う。

 

流木に捕まり川を流れていく少年。

釣りをしているときに村人に脅かされ

川に落ちたのだ。

村人の男がなぜそのようなことをしたのか。

 

<ミレル>

少年は水車小屋のところで、

そこの使用人の男に救い出される。

水車小屋の管理人の初老の男ミレルは

その少年は不幸を呼ぶと吐き捨てる。

 

ミレル

 

それでも少年は

水車小屋で使われることになる。

水車小屋の管理人の妻は

少年に衣服を与える。

死んだ息子のおさがりだ。

 

水車小屋の管理人は妻が使用人の

男と関係があるのではないかと疑い

妻をせっかんする。

その様子を、上の部屋の床の隙間から

少年は覗き見る。

 

ミレルの妻   ミレル   使用人の男

 

雨の降る夜、

帰ってきた管理人は、

食事中にいきなり怒りだし

使用人の眼をスプーンでくりぬく。

「女房とやりたいのか?

これで女房を見ることができなくなっただろ」

そういって、男を家から追い出す。

 

 

そして女房を激しくせっかんしだす。

くりぬかれた目玉は床に転がり

その汁を猫がなめている。

 

翌朝、少年は水車小屋を出る。

途中に目をくりぬかれた使用人が

木の根元に衰弱し寝転んでいる。

少年は使用人の手に

くりぬかれた目玉を置き、立ち去る。

 

少年は草の生い茂った河原を歩き

小高い丘の上に立つ。風の音が聞こえる。

草木が揺れている。

 

(つづく)