この間、映画『真木栗の穴』の感想を書いたのですが、

その原作にあたる山本亜紀子の『穴』を読んでみました。

 

「穴」という題名の小説や映画は結構あるようで、例えば

小説『穴 HOLES』ルイス・サッカー、

小説『穴』小山田浩子

小説『穴』二木悦子

小説『穴』岡本綺堂

小説『穴』蘭 郁二郎

映画『穴 / HOLES』

監督アンドリュー・デイビス 

出演ジョン・ボイト、シガニー・ウィーバー

映画『穴』監督市川崑 出演京マチ子、船越英二

映画『穴』監督ニック・ハム 出演キーラ・ナイトレイ

映画『穴』監督ジャック・ベッケル 出演ジャン=ケロディ、フィリップ・ルロワ

映画『穴』監督キム・グッキョン 出演アン・ソンギ、キム・ミン

 

という具合になっており、

「穴」を題名に含む小説や映画は

もっともっとあるようだ。

穴は人の想像力をくすぐる魔物のようなものなのだろう。

 

 

映画『真木栗の穴』は原作である

山本亜紀子の『穴』にほぼ忠実に作られている。

あっさりとした映画なので、

原作は短編なのかと思ったが、

結構な長さのある小説であった。

こまごまとした描写が女性らしい感性と感じた。

この小説は、聞いたことの無い文学賞なのだが

「第4回四谷ラウンド文学賞」を受賞している。

四谷ラウンドとは東京の四ッ谷にあった出版社で、

1994年設立、2002年に倒産している。

小説は、現在、角川ホラー文庫から出版されている。

 

 

淡々とした筆の運びで、

奇をてらった表現はなく、

癖のない筆致でとても読みやすい。

ホラーのジャンルに入るのかもしれないが、

おどろおどろしい場面はなく、ソフトで、

どちらかというと控えめな表現で書かれている。

 

 

単行本を図書館で借りて読んだのだが、

表紙には「穴」が開いており、

中表紙には蛭子能収のヘタウマで

脂っこいイラストが描かれている。

 

 

 

 

穴から絵の一部を覗ける体裁になっているところが面白い。

(蛭子のイラストは本書の内容にはあっていないと思う)

 

覗く、という行為は、

良心や自尊心が邪魔をしてなかなかできないと思うのだが、

それらの箍(タガ)を振り払って没頭すれば、

いわゆる「沼にははまる」という状態になるものと思う。

「穴」系の小説や映画を攻めてみる、というのも面白いかもしれない。