監督 セルジオ・コルブッチ

サイレンス(ジャン=ルイ・トランティニャン)

ロコ(クラウス・キンスキー)

保安官(フランク・ヴォルフ)

ポリカット判事(ルイジ・ピスティリ)

ポーリーン(ヴォネッタ・マギー)

1968年/イタリア、フランス

 

マカロニウエスタンの中でも

カルト的な人気を誇る。

音楽はエンリオ・モリコーネ。

『男と女』で人気になった

ジャン=ルイ・トランティニアン、

怪優クラウス・キンスキーが出演している。

暴力描写のため数か国で上映禁止になったという。

邦題(殺しが静かにやって来る)は

原題(Il grande silenzio/The Great Silence)

とは全然違うが、秀逸だと思う。

 

悪徳のはびこる宿場町ノースヒル。

判事が支配し、賞金稼ぎが傍若無人に振る舞う。

両者は一蓮托生の間柄なのだ。

委縮して暮らす街の人々。

そこへ沈黙のガンマン、

サイレンスがやってくる。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

19世紀の終わり、

フロンティア・ラインの消滅直後の

ユタ州スノーヒル。

雪深い地域のようだ。

 

賞金稼ぎの標的となる「野盗」たち。

 

地元の悪徳判事に仕事を追われ、

野盗になるように仕向けられ、

判事は野盗たちに賞金を懸ける。

賞金稼ぎたちが集まってくる。

判事は銀行家でもあるので、賞金を払うと

手数料収入がある。

無実の者を野盗に陥れ

賞金を懸け、儲けているのだった。

 

街の者は皆、判事が裏で賞金稼ぎに

利用していることを知っている。

判事を毛嫌いしているが、権力者故

あからさまな反抗もできない。

 

雪原を馬に乗ってやってくるサイレンス。

 

サイレンス

 

サイレンスは賞金稼ぎを始末することが

専門の殺し屋だ。

賞金稼ぎたちが待ち伏せしているが

早打ちで撃ち殺す。

最後に一人残った賞金稼ぎは命越しをしてくる。

サイレンスは親指を撃ち落とす。

そうすれば二度と銃を撃つことができない。

サイレンスは無駄な殺しをしないのだ。

サイレンスは野盗たちから依頼金をもらう。

 

賞金稼ぎ首長のロコは無慈悲な男で、

母親の前でその息子を平気で撃ち殺す。

「これが飯の種だからな」

息子を撃ち殺された老いた母親の嘆きは深い。

 

ロコ

 

スノーヒルに新たに着任した保安官は

野盗に馬を奪われて

みじめにも歩いて雪道を行く。

 

保安官

 

しかし、保安官は、この出来事で、

食料を確保できたら野盗たちは人を殺さない、

ということを知る。

 

途中で運よく馬車に拾われる。

乗っていたのはサイレンス。

宿場に着くと、

仕留めた賞金首を

馬車に積もうとするロコが待っていた。

ひとつの馬車の中に、

保安官、サイレンス、ロコが乗り合い

顔を会わせる。

彼らはまだ自分たちの将来の立ち位置を知らない。

 

ロコ

 

ポーリーン

 

夫をロコに殺された女ポーリーンは

サイレンスに復讐を依頼する。

サイレンスはそれを1000ドルで受ける。

殺された夫の首の値段と一緒だ。

 

判事はサイレンスに興味を示す。

手下を使いサイレンスの行動を調べる。

 

判事

 

判事はロコにそれを伝える。

「ポーリーンがサイレンスに

お前を殺すように依頼したぞ」

そして、ロコにサイレンスを殺すように

そそのかすのだった。

 

ノースヒルは判事が恣意的に支配している。

ロコは判事にうまく利用されている格好だ。

しかしロコモ馬鹿ではない。

自分が可愛い。

得にならないことには手を出さないし、

判事の足元を見て行動する。

嫌みなくらい狡猾なのだった

 

 

新しく着任した保安官は、

判事とロコの関係を胡散臭いとみぬき

自分のやり方で町の治安を治めようとする。

法と制度に従って、ロコたち賞金稼ぎを街から

一掃しようと動き出す。

 

ポリーン     判事

 

対立していく判事と保安官。

判事とその手下がポーリーンの家を襲い、

そこにいたサイレンスに返り討ちにされるが、

サイレンスも深手を負う。

 

ロコにはめられ保安官は死ぬ。

サイレンスを付け狙うロコとその仲間たち。

対決のときが迫る。

野盗たちは賞金稼ぎたちにつかまり、

サイレンスをおびき寄せる人質とされる。

そして、満身創痍のサイレンスが酒場へ姿を現す。

銃も満足に握れない状態だ。

 

サイレンス

 

サイレンスは悲惨な最期を迎える。

ポーリーンもロコに殺される。

人質の野盗たちも皆殺しになる。

 

 

悪辣な賞金稼ぎの高笑いが聞こえるようである。

判事とサイレンスの忌まわしい過去の出来事。

ロコの狡猾。

主人公が最後に無残に殺され、

その他の善良な人達も多く殺され、

質の悪い賞金稼ぎたちが時代を謳歌する。

まさに衝撃のラストだ。