監督 蔵原惟繕

滝田恭助(金子信雄)

中池又吉(西村晃)

熊木伸二(草薙幸二郎)

奥山(河上信夫)支店長

小野(山田禅二)業者

野崎(浜村純)小使

梅葉(白木万理)中池の妹

久美子(小園蓉子)滝田の妻

時子(荒井麗子)女将

1960年/日本

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

直江津にやってきた一人の男、熊木。

チンピラ然とした見かけ。

怪しげなサングラスをかけている。

新潟銀行の職員通用門から中に入っていく。

次長の滝田に用事があったのだ。

 

熊木

 

その頃、滝田は銀行の本店へ

栄転することになったため

送別会の最中だった。

 

 

滝田の妻は頭取の娘で、

そのこともあり本部長として

本店へ迎い入れられたというわけだ。

 

滝田

 

同じ支店で庶務係をしている中池は

滝田の幼馴染である。

滝田が出世して、

自分は万年ヒラの庶務係であることに

なんの不平も抱いていない。

料亭の女将は

「甲斐性がないねえ。じれったいよ」

などというが、中池は、

「頭取の娘をワイフにしたのだから

偉くなって当たり前だ。

あっちは大卒だし、

こっちは中卒だ。

こうなるきまりなんだよ」

などという。

 

中池

 

中池には料亭に勤める妹梅葉がいる。

 

中池の妹      中池

 

梅葉は滝田のことを良く思っていない。

滝田は、中池の妹と関係しながら

頭取の娘久美子と結婚したのだ。

 

久美子      滝本

 

久美子は、

もとは中池と付き合いがあったのだが

中池を踏み台にして、

滝田は久美子に近付き

横から奪ったのだった。

 

滝田はまじめな銀行員として

振る舞ってはいたが、

裏では、いわゆる「浮貸し」を行っていた。

 

中池はそのことを知っていた。

表面は友人面をして、

腹の中では自分や妹を馬鹿にしている

滝田のことを中池は恨んでいた。

いつかはその面の皮を

ひっぺ返してやろうと企んでいたのだ。

 

その機会がとうとう訪れた。

中池は、熊木を利用して

滝田に「ある脅迫」を仕掛けていく。

 

中池(左)

 

じわじわと滝田が窮地へと陥っていく。

その様子を、中池は従順な部下を装いながら

見つめている。

やがて立場が逆転していく…。

 

 

西村晃のとらえどころのない風体が不気味である。

飄々としたおとなしい男なのかと思いきや

箙中では虎視眈々と復讐の機会を窺っている。

エリート行員の滝本が、

じわりじわりと奈落に落ちていく。

エリートの弱点は、

自分は賢いと思い込むところなのだろう。