監督・脚本 堀貴英

パートン:地上から地下世界へ調査に行く。

3バカ兄弟:パートンを回収したマリガンの三つ子。

ニコ:少女型マリガン

ホクロ:ニコと行動を共にする男性型マリガン

2021年/日本

 

地下を開発するために人類は

人工生命体=マリガンを作り上げた。

地上は汚染され人類の住む

環境ではなくなってきている。

そこで地下に目を付けたのだ。

 

しかし、自我に目覚めたマリガンは

人類に対して反乱を起こし

地下に居ついてしまった。

 

人類は遺伝子操作によって

不老不死ともといえる長寿を

得ることに成功したが、

その代わりに生殖能力を喪失している。

 

マリガンとの対立以来1,600年が経過したのち、

地下世界で独自の進化を遂げているであろう

マリガンの実態調査をすることになる。

 

 

壮絶なほど精緻なこの映画を作ったのは、

堀貴秀(1971年生れ)という日本人。

本職は内装業という。

もともと美術志向の強い人のように見える。

 

最初の短編『JUNK HRAD1』、30分もの、

を4年かけて制作。

国内では評判にならなかったが

海外で評価されて、

2014年に本編の制作に乗り出し

2021年に公開された。

7年の歳月をかけて、

数名のスタッフで作ったという。

 

お勧め度

★★★★☆

 

 

人類は長寿を得たが、生殖能力を失っている。

さらに、疫病のため人口が減っている。

このままではまずい。

人類は、マリガンを調査するために

地下世界に向けてポッドを投下する。

中に入っているのはパートン。

人類の生殖能力の復活のために

マリガンの遺伝子情報を収集するのが

パートンに課された使命だった。

 

しかし、落下していくポッドが

途中で地下世界のマリガンに発見され、

ミサイルで撃墜される。

ばらばらになるポッド。

その中から飛び出た

頭の部分はマリガンの3人組に拾われる。

そこにはパートンの記憶が収納されている。

 

3人組(3バカ)はその頭を

博士のもとに持っていく。

 

3バカとパートンの頭

 

頭の異様にでかい博士はいう。

「これは我々の創造主だ」

博士は体を作り頭に取りつけ、

1個の生命体として

パートンを再生する。

手術室には、機械と生体が合体したような奇妙な生き物が

いるし、博士の助手も異様な見た目をしている。

マリガンは、多様に進化・変化しているようだ。

 

 

 

 

 

 

パートンは爆撃されたショックで

記憶を失っている。

3バカはパートンを神とみなし、

守護しながら行動を共にする。

 

獰猛なマリガンの怪物に襲われたり

3バカとは別の集団に拾われたり、

詐欺師に騙されたりしながら

パートンの冒険は続いていく。

 

詐欺師

 

パートン

 

パートンがおんぼろロボットに改造され、

小間使いとして働かされているときに

ひとりの少女ニコに出会う。

ニコは相棒の触手の長いマリガンのホクロと

一緒に行動している。

二人とも幼いころに捨てられ、

老婆に拾われて養われていた。

その老婆が死んだ後は

地下世界の孤児となり

二人で放浪の生活をしていたのだった。

 

パートンはニコたちに情けをかけ

親切にする。

 

3バカと再会したパードンは

「生命の樹」について知る。

マリガンは生命の樹の実から生まれるのだ。

 

「生命の樹」を求めて旅をするなか

野生の凶悪な怪物トリムテと戦うことになる。

その戦いで3バカのうち2名が死んでしまう。

残された1名は、博士の元へ戻り、

パートンはニコ、ホクロと

旅を続けることにする。

 

 

 

マリガンの造詣がバラエティに富み

面白い。

ディストピア的な雰囲気と

その中でたくましく生きている

マリガンたちの姿。

 

ユーモアを交えながらも

残虐で生理的嫌悪感をもたらす場面も

用意されている。

この作品は3部作の第1作目という。

第2、第3にはどのような

キャラクターが飛び出してくることか。

続編の完成が待ち遠しい。