監督 フランク・ヘネンロッター

ドゥエイン(ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック)

シャロン(テリー・スーザン・スミス)

1983年/アメリカ

 

ナイトショーとして公開され、

徐々に人気を博していった作品。

稚拙な撮影とおどろおどろしくも

滑稽な怪物が暴れまわる。

カルトホラーの雄。

チープな作品だが、

ニューヨーク近代美術館に

コレクション入りしている。

 

<あらすじ>

シャム双生児の兄弟。

あるとき、強引に3人の医師たちによって

分離されてしまう。

大きな異形のこぶのような姿になった兄は

弟の協力を得て医師たちに復讐をしていく。

ところが弟のドゥエインが1人の女に恋をしてしまう。

それが2人の兄弟の均衡を壊していく。

 

お勧め度

★★★☆☆

 

 

冒頭、医師のリフランダーが

自宅で何者かに殺される。

殺されるとき、カルテに返り血が飛び散る。

 

夜のニューヨーク。

大きなバスケットを抱えた青年が、

きょろきょろしながら歩いている。

古くて薄汚いホテルに入っていく。

カウンターにいる受付の

肥満した禿げた親父は態度が横柄だ。

ホテルを常宿にしているうらぶれた男たち

が雑談をしている。

物珍しそうに青年を見つめ、

ニタニタと笑う。

 

中央(ホテルの受付)

 

青年の名はドゥエイン。

ある目的をもってニューヨークへやってきた。

 

ドゥエイン

 

外へ食料を買いだしに行く。

部屋に戻るとバスケットのふたを開けて

中に食料を入れる。

バスケットの中に入っている「なにか」は

すさまじい勢いて平らげていく。

 

ドゥエインは電話帳で人を探す。

手にしているカルテは血で汚れている。

 

ドゥエインは訪ねていった

因縁のある医師ニードルマンのところで

シャロンと出会う。

シャロンは医院の受付をしていたのだ。

二人はひかれあい、

早速デートの約束をする。

 

シャロン

 

その夜、ニードルマンが1人になったのを見計らって

ドゥエインは兄のベリアルを解放する。

醜い肉の塊。

鋭い歯と武骨な手。

指にも奇形がある。

 

 

ベリアルは、呻き声を上げながら

ニードルマン医師に襲い掛かり、

胴体をまっぷたつに引き裂いて殺す。

 

ニードルマン

 

翌日ドゥエインは

「次の標的カッター医師のところへ行ってみる」

といい、ベリアルをホテルの部屋に残して出かけていく。

しかし、本当はシャロンとデートをする予定なのだ。

 

少したち、デートをしているドゥエインの感情に

ベリアルは感応し、嫉妬心と怒りに燃える。

ベリアルはドゥエインの感情や考えを遠隔で

感じ取ることができるのだ。

 

ドゥエイン        シャロン

 

その後ベリアルは女に興味を持ち始め

騒ぎを起こしたりする。

それでもドゥエインはベリアルを大事に扱う。

 

3人目の標的カッター医師を殺す。

 

カッター

 

 

彼女は医師ではなくて獣医だった。

それがドゥエインとベリアルに

さらなる屈辱感をもたらす。

人扱いされていなかったと感じるのだ。

 

 

ドゥエインとシャロンの仲に嫉妬したベリアルは

ドゥエインが寝ている間にホテルを抜け出して

シャロンの家へと向かう…。

 

最後、路上でうつぶせに横たわるドゥエインの横に

かつての姿のままに、

寄り添うようにベリアルが伏せているのだった。

 

 

 

ひとりの男として「人」らしい生活を

始めたドゥエインに

ベリアルは捨てられたような思いを持ったのだろうか。

復讐を果たしても、心は満たされない。

自分は異形のバケモノなのだ。

 

 

basket caseを調べてみると

「無力な人」「ポンコツ」「手足を失った人」

などの意味がでてきた。

私は籐編みの籠のことだとばかり思いこんでいた。