原作はデンマークのカレン・ブリクセン。

小説の舞台はノルウェーの北方の寒村だが、

映画はデンマークの小さな村の出来事

として描かれている。

 

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

 

 

1885年生まれのブリクセンは

デンマークの国民的作家で

紆余曲折の人生を歩んだ人のようだ。

デンマーク語と英語で小説を書き、

英語版の筆名はイサク(アイザック)・

ディーネセン。

同じ小説でもデンマーク語版と英語版では

内容が大きく異なるものもあるらしい。

 

ケニアでコーヒー農園を営んでいたこともあり

その時の体験をもとにして書いたのが

『アフリカの日々』。

これはメリル・ストリープと

ロバートレッド・フォードがでた

『愛と哀しみの果て』

として映画化されている。

 

 

監督 ガブリエル・アクセル

バベット(ステファーヌ・オードラン)

フランスから亡命して来た女性。

マーチーネ(ビルギッテ・フェダースピール)

牧師の娘。

若いころのマーチーネ(ヴィーベケ・ハストルプ)

軍人ローレンスに求愛される。

フィリパ(ボディル・キュア)

牧師の娘。

若いころのフィリパ(ハンネ・ステンスゴー)

オペラ歌手パパンに求愛される。

牧師(ポウエル・ケアン)

マーチーネとフィリパの父親。

軍人ローレンス(ヤール・キューレ)

老いてスウェーデンの将軍となる。

若いころのローレンス(グドマール・ヴィーヴェソン)

アシール・パパン(ジャン=フィリップ・ラフォン)

著名なフランス人バリトン歌手

デンマーク/1987年

 

ロードショーのときに

1度見たことがあるが、

今回見直してみても

とても面白い。

静かな余韻が心地よく、

心が豊かになる感じがする。

 

お勧め度

★★★★★

 

19世紀、デンマークの海辺の寒村。

初老の姉妹がつつましく暮らしていた。

姉がマーチ―ネ、妹がフィリパ。

2人の父親は牧師で、亡くなったあとも

集落の人たちから尊敬されていた。

姉妹は父と同じように、信仰に生き

村人たちの信仰の中心として

神の教えに従って生活していた。

 

マーチーネ   フィリパ

若いころの姉妹はとても綺麗だった。

社交界に顔を出さないので、

若い男たちは教会へ彼女たちを

見に行ったものだった。

 

フィリパ  牧師  マーチーネ

 

そのころ、村の近くの屋敷には駐屯地で失敗をして謹慎中の

若い士官ローレンスがいて、マーチーネを一目見て

惚れこんでしまう。その気持ちをマーチーネも感じ取り、

ローレンスに恋心を抱く。

しかし、結局何も起こらないまま

ローレンスは軍隊へと戻っていく。

 

ローレンス

 

有名なオペラ歌手のパパンが

自然を求めて村へとやってくる。

パパンが暗い気分で海を見ていると。

歌声が聞こえてくる。

パパンは教会で歌うフィリパをみて独り言ちる。

「彼女はディーバだ」

一緒に歌のレッスンをする。

表情豊かに歌うパパン。

 

パパン  フィリパ

 

フィリパはパパンに淡い恋心を抱く

パパンもフィリパを気に入り、

パリへ連れていきたいと考える。

しかし、フィリパは歌のレッスンを断り

パパンの求愛を遮断してしまう。

 

結局、姉妹は父と一緒に信仰を大切にしたいと考え

男たちの求愛に応じることはなかったのだ。

二人とも自分の恋心に

何か怖いものを感じたのかもしれない。

 

二人の姉妹は、

村での質素で敬虔な生活を続け年老いていく。

村人たちも年老いていく。

 

村の家々

 

あるときパリコミューンの活動のため、

パリにいられなくなった女性バベットが

パパンの紹介で亡命してきた。

命からがら逃げてきたようだ。

姉妹はバベットと暮らすようになる。

バベットは家政婦として働き始める。

気が利きシャキシャキとした性格で

村の皆に親しまれている。

バベットは料理がとても得意だった。

そしてやりくりも上手だった。

 

バベット

 

バベットが来てから14年が過ぎた。

すっかり村になじんでいる。

村人からは「賢い人」といわれている。

姉妹は、村人の悩みを聞き慰めて、。

信仰に基づいた助言を与えている。

 

「亡くなった父の生誕100周年の集まりをします」

姉妹は、信仰の集いに集まった村人たちにいう。

牧師が亡くなって時間がたち、

村人たちの薄くなりがちな信仰心を

取り戻したいという気持ちもあった。

 

その頃、フランスからバベットに手紙が届く。

バベットがフランスの甥っ子に頼んで買ってもらっていた

宝くじがあったのだ。大金だ。

 

バベット

 

(続く)