ウィルには老いた父親がいる。
ウィルは父親からいろいろな話を聞かされて育った。
ウィルは、今では成人し結婚していて、妻のお中には子供がいる。
ウィルは、父親が自分に語ってくれたたくさんの話は、ほら話であって、ないことをでっちあげて、家庭を顧みなかったことのいい訳している、と感じている。
父親の名はエドワード。エドワードの回想がこの映画の主たるストーリーとなる。
エドワードは余命いくばくもない状態になっている。ベッドで食事をとっている。しかし頭はしっかりとしている。
回想の合間に挟まれる現在の時間。その時のエドワードとその妻サンドラの会話、エドワードとウィルのやり取り、ウィルとその妻のジョセフィーンとの語らいが、見る者の心をして、懐かしくて大切なものを想起させる。
コメディックでユーモラスで、非現実的なエドワードの回想。
その中に人生における大切なものが高純度で含まれている感じだ。懐かしくて涙が出そうになる。
魔女に自分の死に方を見せてもらった話。とある女性に一目ぼれし、サーカス団に入って働いた話。サーカス団には名物団長がいてエドワードと友達の大男カールも在籍していた。
その後、その女性にプロポーズし結婚した話(その女性とはサンドラだ)。
結婚後徴兵され中国から双子の姉妹を一緒に逃亡を図った話。
スペクター(幽霊とか幻影の意)という街で知り合った詩人ノザーと銀行で再開し、一緒に銀行強盗を働く話。さらにその詩人はその後ウォール街で成功しておお金持ちになったという。……。
今では父親の話を信じることのできないウィル。
子供のころは信じていたが、大人になってからは、話が荒唐無稽すぎて信じることができないでいる。
父と子の間に溝ができている状態となっているのだが、それが映画が進行するにつれだんだんとほぐれていく。
明るくてきれいな母親、夫をよく気遣う妻の存在はこの映画の華でもある。カコイイ女性たちだと思う。
エドワードが発作を起こし病院へ担ぎ込まれる。死にかけている。眠っているのか、昏睡しているのかよくわからない。
エドワードがふと意識を取り戻す。エドワードはウィルにいう「わしが死ぬときの話をしてくれないか」
その話についてはかつて父親から聞いたことがなかったが、ウィルは、父親から聞いた数々のほら話を背景にした、父親らしい死に方の話を即興でする。
それは、昔からの知り合いがたくさん出てきて、川辺でエドワードを待っている。その中には妻のサンドラもいる。
みんなに歓迎され、別れを告げて、ウィルに抱えられてエドワードは川に入っていく。すると大きな魚:ビッグ・フィッシュとなって泳ぎ去っていく。
「それがお父さんの死に方だよ」
話を聞き終えたエドワードは満足そうにうなずいて死んでいく。
葬式には、エドワードの友人たちが大勢集まってきた。
その中には、ほら話と思っていた、サーカスの団長や大男、中国の双子の姉妹などの姿があった。ウィルは、素晴らしい父を持っていたことを改めて実感するのであった。
エドワード役のユアン・マクレガーは1996年イギリス映画「トレイン・スポッティング」で有名になりました。その後、1999年「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」を経て、この映画『ビッグ・フィッシュ』に出演しています。
サンドラ役のジェシカ・ラングは素敵な妻を演じていました。初めて映画で見たのは『キング・コング』でした。キング・コングに誘拐(?)される美女の役でした。そのあとの『郵便配達はいつも二度ベルを鳴らす』で大胆な変化を遂げました。
監督はティム・バートン。『ビートルジュース』『シザーハンズ』『チャーリーとチョコレート工場』などアクの強い作品が多いような気がします。新作は『ダンボ』ですね。
ビッグ・フィッシュは壮大なファンタジーであり、ラブ・ストーリであり、家族映画もあると思います。
監督:ティム・バートン
エドワード・ブルーム(若いころ)(ユアン・マクレガー)
エドワード・ブルーム(現在)(アルバート・フィニー)
ウィル・ブルーム(ビリー・クラダップ)
サンドラ・ブルーム(ジェシカ・ラング)
サンドラ・ブルーム(回想)(アリソン・ローマン)
ジョセフィーン・ブルーム(マリオン・コティヤール)
大男カール(マシュー・マッグローリー)
ノザー・ウィンズロー(スティーヴ・ブシェミ)
サーカス団の団長(ダニー・デヴィート)
アメリカ映画/2003年