結構おもしろい映画を見たので、今日はその話。

 

 

映画の題名は『リピーテッド』。原題は「私が眠りにつく前に」。S・J・ワトソンの同名の小説を原作にしている。

アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデンの合作。

 

クリスティーンが目覚めるとベッドの隣には見知らぬ男が寝ている。

こっそりベッドを抜けだして、バスルームへ行くとそこには自分と見知らぬ男の写真が貼ってある。

ベッドにいた男とは自分は夫婦なのだ。しかし何も覚えていない。

 

 

男、つまり夫のベンがいうには、事故にあって記憶が1日しか持たない。すでに14年間その状態で、クリスティーンは今では40歳になっている。

ベンは一通りの説明をしたのち

「今夜出かけよう」と言い残して仕事へ出かける。

 

 

1人でいると電話が鳴る。クリスティーンが出ると、電話の主は記憶障害を担当している医者のナッシュと名乗る。そしてクリスティーンに奇妙な指示を出し始める。

見るものにとっては映画が面妖な方向へと進んでいくん謎めいた電話だ。

 

公園でクリスティーンを見かけた医師ナッシュは自己紹介し無償でクリスティーンの治療を申し出る。研究論文のためだ。

クリスティーンの事例は、論文を読んで知っていたらしい。顔も写真で見て覚えていた。

クリスティーンもそれを受け入れ治療が始まることとなる。医師はカメラをクリスティーンに渡す。録画できるカメラだ。

これで、毎晩寝る前に自分の言うことを記録できる。自分をさらけ出すのだ、と医師は言う。しかし、夫のベンには内緒だ。医師の態度もどこかミステリアスで怪しい。妙に落ち着いており、腹に何かを持っているかのようだ。

 

 

夫は交通事故が原因で記憶障害となったというが、医師は頭部を殴られたことが原因だという。瀕死の状態で屋外で発見されたのだ。

夫はなぜうそを言うのかクリスティーンにはわからない。

自分が瀕死の状態で発見された現場を医師と訪ねる。発見者の話も聞く。しかし、クリスティーンにははっきりと思い出すことができない。時折、フラッシュバックのような断片的な記憶が脳裏を横切ることはあっても。

 

 

クリスティーンは、起きている間いろいろと物事を考える。しかし、夫のベンに対する疑念も事故のことも、事故ではなく事件だったかもしれないことも翌日にはきれいさっぱりと忘れるのだ。

 

 

クリスティーンはベンを疑い始める。友人のクレアのことを隠している。

クリスティーンはクレアの思い出をとおして自分が妊娠していたことを思い出す。

子供のことをベンに問いただすが、ベンは、子は死んだという。

アダムというその子は9歳になる前に髄膜炎で死んだとベンは説明する。

 

クリスティーンは襲われた時の映像をフラッシュバックするようになる。自分を襲ったのはマイクという名であることを思い出す。次第に、昔のことを思い出し始める。

 

医師ナッシュの車の中で、自分を襲ったのはマイクという名の男であると話をする。ナッシュは、その話を聞き「申し訳ない」という。そう言ったようにクリスティーンには思えた。ナッシュのファーストネームはマイクだったのだ。

取り乱し逃げ出すクリスティーン。追いかけるナッシュ。鎮静剤をクリスティーンに打つ。

 

ナッシュは治療を別の医師に引き継ぐと告げる。クリスティーンから離れようとするには、何かわけがあるような印象を見る者に与える。

そして、ベンについて話をする。ナッシュが他の医師から聞いた話では、ベンとクリスティーンは4年前に離婚しているというのだ。

医師が嘘を言っているのか、ベンが何かを隠しているのか判然としない。

 

クリスティーンは昔の友達クレアと会う。クレアのことはベンは話したがらなかった。隠していたのだ。その理由が、クレアと会って理解できたと感じたクリスティーンではあった。

その夜、医師に治療を受けていることをベンに告げる。ベンは激高し、クリスティーンにビンタをはる。そして、家を出ていく。

クリスティーンはショックを受けクレアに電話する。クレアはベンと話をするといって電話を切る。

しばらくし、クレアから電話が入る。ベンは4年前から一緒には住んでいない、今住んでいる人はベンではない、別人だと告げる。

 

一緒に住んでいる男はベンではないのか。クレアと医師はつながっているのか。いや、クレアが裏でつながっているのはベンかも知れない。なぜならすぐに電話ができたからだ。

見ている者は混乱する。しかしクリスティーンに危機が迫っていることは判る。

 

その時、誰かが家に入ってくる物音がする…。

 

工夫された映像。挿入されるフラッシュバック。

物置と物置の狭い隙間から見上げる空を横切る飛行機は、明確な色遣いで脅迫的な爆音を轟かせまがまがしい。次のシーンで車のボンネットに映り込む上空を横切る飛行機のモノトーンの影は静謐で音さえしない。

クリスティーンの目のアップ。不安に満ちた眼。この映画全体の雰囲気を表現している。

 

 

ニコール・キッドマンはきれいな人だなと思いました。

1967年生まれなので、この映画のときは46とか47歳くらいでしょうね。映画の中では40歳ということになっています。

『誘う女』(1995年)のころのぴちぴち感はありませんが、しっとりとした落ち付いた色気を感じさせます。

また別の映画も見てみたいですね。

 

みなさん、よいお年を!

 

監督 ローワン・ジョフィ

クリスティーン役(ニコール・キッドマン)

ベン役(コリン・ファース)

医師ナッシュ役(マーク・ストロング)

クレア役(アンヌ=マリー・ダフ)

アダム役(ディーン=チャールズ・チャップマン)