昨日は、森元首相とサマータイムに悪態をついてしまいましたが、今回はサマータイムにまつわる面白い話を紹介します。

 

 

サマータイムを導入しているドイツにフェルディナント・フォン・シーラッハという作家がいます。刑事事件の弁護士をしていた人で、自身が扱った事件を基に小説を書いて世界的に評価されている人です。現在54歳くらいでしょうか。

10年位前に書いた最初の短編集『犯罪』は日本でもよく売れたそうです。私も持っています。何度か読み返しました。抑制された文章で冗長なところがなく、カチッと硬質な感じにまとまったクリスタルのような小説ばかりです。

 

短編のひとつに「サマータイム」というのがあります。ジャニス・ジョプリンの「サマータイム」も良いですが、シーラッハの「サマータイム」も大変良い作品です。

 

ある年配の実業家が、若いコールガールと関係を持ちます。そのコールガールがホテルの一室で死体で発見されます。その殺人の容疑者となったのが実業家でした。

死体が発見された日、ホテルの出入り口に設置された防犯カメラに写っていたからで、その時刻も克明に記録されていました。しかし、実業家を弁護する弁護士がサマータイムに気が付いて、トリックを仕掛けます。さて、どうなるか…。

 

読んでいる我々も作者のシーラッハの術中にはまってしまいます。

ほかの小説も面白いです。おすすめです。

 

ところで、EUのサマータイムは1時間だけ時計を進めるのですね。3月の終わりくらいから10月の終わりまでが夏時間です。しかし、先日EUのユンケル委員長はサマータイムの導入を廃止するという案をEU議会に掛けることを決定しています。廃止されることになるのだろうと思います。

エネルギー消費がかえって増え、健康を害する者も増えたということで、多くの加盟国の国民が廃止を訴えています。

1時間針を進めるだけで結構な弊害が出ているのです。日本は2時間も針をずらそうとしています。本気なのか?

 

年寄りは朝が早くなります(私もそうです)。森さん、もしかしたら自分が朝早いから、サマータイムを導入したいのではないでしょうか?オリンピックもあるしちょうどいいや、などと考えているのかもしれません。

私は反対です。